深夜に届く問い合わせ、休日の予約確認、営業時間の質問。これらすべてに即座に対応できたら、どれだけ顧客満足度が向上するでしょうか。
LINE公式アカウントの「応答メッセージ」機能は、まさにこうした課題を解決する強力なツールです。事前に設定したルールに基づいて、ユーザーからのメッセージに自動で返信。スタッフが不在の時間帯でも、顧客を待たせることなく適切な情報を提供できます。
本記事では、応答メッセージの基本的な仕組みから具体的な設定方法、そして実際の活用事例まで、運用担当者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

知っておきたい応答メッセージの基本機能
LINE公式アカウントの応答メッセージには、大きく分けて「一律応答」と「キーワード応答」の2種類があります。この違いを理解することが、効果的な自動応答システムを構築する第一歩です。
それぞれの機能には明確な特徴があり、使用する場面も異なります。多くの企業がどちらか一方だけを使いがちですが、実は両方を組み合わせることで、より柔軟で使いやすいシステムを作ることができるのです。
すべてのメッセージに返信する「一律応答」
一律応答は、ユーザーから受信したメッセージの内容に関わらず、すべてのメッセージに対して同じ定型文を返信する機能です。
例えば、営業時間外に「現在営業時間外です。お問い合わせは翌営業日に対応いたします」というメッセージを自動送信する場合などに活用されます。複数の応答メッセージを登録しておけば、その中からランダムに選ばれたメッセージが送信されるため、毎回同じ文面になることを避けられます。
一律応答の最大のメリットは、設定が簡単で、どんな問い合わせにも必ずなんらかの返信ができることです。ユーザーを完全に無視することがないため、「メッセージを送ったのに返事がない」という不満を防げます。
ただし、ユーザーの質問内容に関係なく同じメッセージが返ってくるため、具体的な回答を求めている場合には物足りなさを感じさせる可能性があります。そのため、一律応答は主に時間外対応や、より詳細な対応への橋渡しとして使用されることが多いのです。
特定の質問に自動で答える「キーワード応答」
キーワード応答は、あらかじめ設定したキーワードとユーザーのメッセージが完全に一致した場合にのみ、対応する返信を送る機能です。
「営業時間」というキーワードを設定していれば、ユーザーが「営業時間」と送信したときに営業時間の情報を自動返信します。よく使われるキーワードには「予約」「アクセス」「メニュー」「料金」などがあり、これらを設定することでFAQの自動化が可能になります。
ここで重要なのは「完全一致」という条件です。「営業時間」というキーワードに対して、ユーザーが「営業時間は?」や「営業時間教えて」と送信しても反応しません。この課題に対応するため、想定される表現のバリエーションをすべてキーワードとして登録しておく必要があります。
キーワード応答を効果的に活用している企業では、関連する表現を網羅的に登録し、ユーザーがどのような言い回しで質問しても適切に応答できるよう工夫しています。設定には手間がかかりますが、一度設定すれば24時間365日、正確な情報を提供し続けてくれる頼もしい機能です。
自動と手動を使い分けるハイブリッド運用
応答メッセージとチャット機能は同時に利用することができ、この組み合わせにより柔軟な顧客対応が実現します。
基本的な流れとしては、まず応答メッセージが自動返信を行い、その後必要に応じてスタッフが手動でチャット対応に切り替えることができます。例えば、簡単な質問は自動応答で処理し、複雑な相談や個別対応が必要な案件についてはスタッフが引き継ぐという運用が可能です。
さらに便利なのが、時間帯による自動切り替え機能です。営業時間内はスタッフがチャット対応し、営業時間外は応答メッセージによる自動返信に切り替えるという設定ができます。これにより、スタッフの勤務時間に縛られることなく、常になんらかの形で顧客対応を継続できます。
実際の運用では、自動応答で一次対応を行い、ユーザーの要望を把握した上で、必要に応じて人間のスタッフにエスカレーションするというフローを構築している企業が多く見られます。これにより、スタッフの負担を軽減しながら、きめ細やかな顧客サービスを提供することが可能になっています。
今すぐできる!応答メッセージの設定方法

応答メッセージの設定は、思っているよりも簡単です。ただし、効果的に運用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、LINE Official Account Managerでの具体的な設定手順から、反応率を高めるためのコツまで、実践的な内容を解説します。設定でつまずきやすいポイントも含めて、順を追って説明していきます。
管理画面から始める基本設定
応答メッセージを利用するには、まずLINE Official Account Managerにログインし、機能を有効化する必要があります。
管理画面右上の「設定」から「応答設定」を開き、応答メッセージ機能をオンにします。ここで重要なのは、チャット機能の利用の有無によって設定方法が異なることです。チャット機能を使わない場合は「チャット」をオフにして「応答メッセージ」をオン、チャットも併用する場合は「チャット」をオンにした上で「手動チャット+応答メッセージ」を選択します。
次に、ホームメニューから「応答メッセージ」を選択し、「作成」ボタンをクリックして新しい応答メッセージを設定します。設定画面では、タイトル(管理用)、応答タイプ(一律応答/キーワード応答)、キーワード(キーワード応答の場合)、メッセージ内容などを入力します。
メッセージ内容は、テキストだけでなく画像、スタンプ、クーポン、リッチメッセージなど、さまざまなコンテンツを組み合わせることができます。最大3つの吹き出しまで設定可能なので、情報量に応じて適切に構成しましょう。設定が完了したら、必ず「利用開始」のスイッチをオンにすることを忘れずに。これで自動応答が実際に稼働します。
反応率を上げるキーワード選びのコツ
キーワード応答の成功は、適切なキーワード設定にかかっています。多くの運用担当者が悩むのが、「設定したのに反応しない」という問題です。
この問題の主な原因は、キーワードの完全一致条件を考慮していないことにあります。例えば「営業時間」というキーワードだけでは、「営業時間は?」「営業時間教えて」といったバリエーションには反応しません。
効果的なキーワード設定のポイントは、まずユーザーがどのような言葉で質問するかを想定することです。よくある質問として「営業時間」「予約」「定休日」「アクセス」などが挙げられます。これらに対して、想定される表現をすべて洗い出しましょう。
次に、表記ゆれも考慮に入れます。「予約」「ご予約」「予約したい」「予約できますか」など、同じ意図でもさまざまな表現があります。これらをすべてキーワードとして登録することで、より多くのユーザーの質問に対応できるようになります。設定後は定期的に管理画面で応答状況を確認し、反応していない質問パターンがあれば追加していくことが重要です。
友だち追加時に送る「あいさつメッセージ」の作り方
あいさつメッセージは、ユーザーが友だち追加した直後に自動送信される特別なメッセージです。第一印象を決める重要な要素であり、その後の関係性を左右します。
あいさつメッセージの最大の特徴は、通常のメッセージ配信と異なり、最大5つの吹き出しまで送信できることです。また、配信数のカウント対象外となるため、無料プランでも制限を気にせず充実した内容を送ることができます。
効果的なあいさつメッセージの構成要素として、まずアカウントの簡単な紹介と、今後どのような情報を配信するかの予告を含めましょう。次に、友だち追加の御礼として限定クーポンや特典を提供すると、ユーザーに「追加してよかった」と感じてもらえます。
また、「ご質問はお気軽にメッセージでお送りください」といった案内を入れることで、ユーザーからの最初のメッセージを促すことができます。これは、LINE公式アカウントではユーザーからの最初のメッセージがないとチャット対話が始まらないという仕様があるためです。親しみやすい絵文字を適度に使いながら、堅すぎず軽すぎない、ちょうどよいトーンで作成することがポイントです。
営業時間に合わせた自動切り替え設定
応答メッセージの応答時間設定機能を使えば、曜日や時間帯によって自動応答とチャット対応を切り替えることができます。
設定方法は、管理画面の「設定」から「応答設定」に進み、「応答時間」のスケジュールをオンにします。ここで曜日ごと、時間帯ごとに「チャット対応」か「自動応答」かを選択できます。例えば、営業時間内はチャット対応、営業時間外は自動応答という設定が可能です。
この機能により、スタッフが不在の時間帯でも顧客を待たせることなく、適切な一次対応ができます。営業時間外の自動応答では、営業時間の案内や翌営業日に対応する旨のメッセージを設定しておくことで、ユーザーに安心感を与えることができます。
また、応答メッセージ自体にもスケジュール機能があり、特定の期間だけ有効にすることも可能です。年末年始や長期休暇などの特別な期間には、専用の自動応答メッセージを期間限定で設定できます。これにより、イレギュラーな休業日でも適切な案内ができ、顧客サービスの質を保つことができます。
売上アップにつながる応答メッセージの活用事例

応答メッセージは単なる自動返信ツールではありません。工夫次第で、売上向上に直結する強力なマーケティングツールに変身します。
ここでは、実際の企業が応答メッセージを活用して成果を上げている事例を紹介します。基本的な使い方から一歩進んだ、より戦略的な活用方法を見ていきましょう。
リッチメニューと連携したワンタップ接客
リッチメニューのボタンと応答メッセージを連携させることで、ユーザーがワンタップで必要な情報を取得できる仕組みを作ることができます。
具体的な設定方法は、まずリッチメニューのボタンアクションを「テキスト送信」に設定し、送信するテキストを決めます。例えば「クーポン」「予約」「お問い合わせ」など。次に、これらのテキストをキーワード応答のトリガーとして登録し、それぞれに対応する情報を返信するように設定します。
この連携により、ユーザーがリッチメニューのボタンをタップすると、自動でそのテキストが送信され、対応する応答メッセージが即座に返信される流れが実現します。例えば「クーポン」ボタンをタップすれば、事前に設定したクーポン情報が自動で表示されるという仕組みです。
リッチメニューとの組み合わせは、ユーザーが自分で欲しい情報を選んで取得できるセルフサービス型の接客を可能にします。スタッフの手を煩わせることなく、ユーザーは24時間いつでも必要な情報にアクセスできるようになり、双方にとってメリットのある仕組みといえるでしょう。
カードタイプメッセージで魅せる商品カタログ
カードタイプメッセージと応答メッセージを組み合わせることで、複数の商品や情報を見やすく整理して自動送信できます。
カードタイプメッセージは、複数のカードを横にスワイプして閲覧できる形式のメッセージです。各カードには画像、タイトル、説明文、ボタンを設定でき、商品やサービスの一覧を効果的に表示できます。これを応答メッセージと連携させれば、ユーザーの要求に応じて適切な情報群を自動で提示できます。
設定方法としては、まずカードタイプメッセージで複数の商品やサービスを表示するテンプレートを作成します。次に、応答メッセージで特定のキーワードを受信した際に、このカードタイプメッセージを返信するように設定します。最後に、リッチメニューのボタンにそのキーワードのテキスト送信を割り当てることで、ワンタップでカタログを表示する仕組みが完成します。
この機能を活用すれば、おすすめ商品の紹介、複数のクーポンの一覧表示、サービスメニューの案内など、さまざまな用途で活用できます。ユーザーは自分のタイミングで情報を取得でき、企業側も効率的に情報提供ができるため、双方にメリットのある仕組みといえるでしょう。
外部ツールで実現する高度なマーケティング
標準の応答メッセージ機能をさらに拡張したい場合は、Messaging APIや外部のLINE連携ツールを活用する方法があります。
Messaging APIを使えば、ユーザーの行動履歴や属性に応じたパーソナライズされた自動応答が可能になります。例えば、ECサイトでのカゴ落ちユーザーへのフォローメッセージ、購入履歴に基づく商品レコメンド、在庫連携による自動通知など、より高度な自動化が実現できます。
また、専門的なLINEマーケティングツールを使えば、プログラミング知識がなくても高機能な自動応答システムを構築できます。これらのツールの特徴は、部分一致でのキーワード認識が可能なことです。標準機能では完全一致が必要ですが、外部ツールを使えば「営業時間」に対して「営業時間は?」でも反応させることができます。
さらに、シナリオ型の複雑な対話フローの作成も可能になります。ユーザーの回答に応じて次の質問を変えたり、条件分岐を設定したりすることで、まるで人間が対応しているかのような自然な会話を実現できます。初期投資は必要ですが、標準機能では実現できない高度な自動化を求める場合は、こうした外部ツールの導入も検討する価値があるでしょう。
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応答メッセージがもたらす新しい顧客コミュニケーション
LINE公式アカウントの応答メッセージは、企業と顧客のコミュニケーションのあり方を大きく変える可能性を秘めています。24時間365日、待たせることなく適切な情報を提供できるこの機能は、顧客満足度の向上と業務効率化を同時に実現する強力なツールです。
まずは基本的な一律応答やキーワード応答から始めて、徐々にリッチメニューやカードタイプメッセージとの連携、さらには外部ツールを活用した高度な自動化へとステップアップしていくことをおすすめします。大切なのは、ユーザーの立場に立って「どんな情報が欲しいか」「どんなタイミングで必要か」を考え続けることです。
LINEのビジネス活用をさらに進めるなら、応答メッセージ機能を最大限に活用できるLINEマーケティングツールの導入も検討してみましょう。専門ツールを使えば、より精度の高い自動応答や、詳細な効果測定が可能になり、マーケティング活動全体の質を高めることができます。顧客とのコミュニケーションを次のレベルへ引き上げる第一歩として、まずは応答メッセージの設定から始めてみてはいかがでしょうか。
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