LINEは、日本で最も利用されているコミュニケーションアプリのひとつです。LINEのユーザー数は、2023年12月時点で国内で約9000万人、世界で約3億人に達しています。
この巨大なユーザーベースを活用して、企業やサービスとユーザーとのコミュニケーションを円滑にするために、LINE Messaging APIという機能が提供されています。
そこで、LINE Messaging APIが、どのような目的で、どのような役割を果たしているのかを知ることは、LINEをビジネス活用するためには大切な要素です。また、LINE Messaging APIを効果的に使うためには、どのようなポイントがあるのかを知ることも重要です。
そこで今回は、LINE Messaging APIの基礎知識や、ビジネス活用する際の目的や役割、効果的な使い方を徹底解説します。これからLINEを自社ビジネスに活用しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
LINE Messaging APIとは?仕組みと特徴を解説
LINE Messaging APIとは、LINEのアカウントを通じてユーザーとの双方向コミュニケーションを実現するAPI(Application Programming Interface)です。
APIとは、ツール(ソフトウェア)を作成する際に、手間を大幅にショートカットできるプログラムの仲介役のようなものです。
LINE Messaging APIの仕組み
LINE Messaging APIを活用すると、自社のサービスとLINEのサーバーがインターネット経由でやりとりすることで、LINEのトーク画面を使った特定のユーザーに限定した双方向のコミュニケーションが可能となります。
例えば、自社のサービスからLINEのサーバーにメッセージを送信すると、LINEのサーバーがそのメッセージをユーザーのLINEアプリに届けます。逆に、ユーザーがLINEアプリでメッセージを送信すると、LINEのサーバーがそのメッセージを自社のサービスに届けるといった具合です。
LINE Messaging APIの特徴
LINE Messaging APIの特徴は、LINE公式アカウントの基本機能とは別で様々な機能を追加できることです。
例えば、以下のような機能があります24。
公式LINEの友だち一覧表示
友だち追加者のユーザー名、プロフィール画像、ステータスメッセージを取得できます。
ブロックされたかどうかの確認
自社のLINE公式アカウントをブロックしたユーザーのプロフィール情報を取得できます。
こちらから発信の1対1トーク
ユーザーに対して自動的にメッセージを送信したり、ユーザーからのメッセージに応答したりできます。
超ステップ配信(ステップLINE)
ユーザーの行動や反応に応じて、段階的にメッセージを送信できます。
さまざまな種類のメッセージ形式
テキストだけでなく、画像、動画、音声、スタンプ、位置情報、テンプレートなどのメッセージを送受信できます。
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LINE Messaging APIの利用方法
LINE Messaging APIの利用方法について、以下の手順で説明します。
- LINE Developersコンソールでチャネルを作成する
- チャネルの設定と管理をする
- ボットサーバーを準備する
- Webhook URLを設定する
- チャネルアクセストークンを発行する
順に解説します。
1.LINE Developersコンソールでチャネルを作成する
まずは、LINE Developersコンソールにログインし、新規プロバイダーを作成します。プロバイダーとは、サービスやアプリを提供する組織のことです。
プロバイダーページで、チャネル設定タブのMessaging APIをクリックし、チャネルに必要な情報を入力します。チャネルとは、Messaging APIやLINEログインといったLINEプラットフォームの機能を、プロバイダーのサービスで利用するための通信路です。
チャネルを作成すると、同名のLINE公式アカウントも作成されます。LINE公式アカウントとは、LINEのトーク画面でユーザーとの双方向コミュニケーションを実現するアカウントです。
2.チャネルの設定と管理をする
チャネルページのチャネル基本設定タブで、チャネルアイコン、チャネル名、チャネル説明などの情報を設定します。これらの情報は、ユーザーに表示されるので、分かりやすく設定することが重要です。
次に、チャネルページの応答設定タブで、ユーザーからのメッセージに対する応答の種類を設定しましょう。応答の種類には、応答メッセージ、応答モード、グリーティングメッセージなどがあります。
さらに、チャネルページのアカウント設定タブで、LINE公式アカウントのアカウント名、アカウントステータス、アカウントタイプなどの情報を設定します。これらの情報は、LINE公式アカウントのプロフィール画面で確認可能です。
3.ボットサーバーを準備する
ボットサーバーとは、Messaging APIの機能を利用するためのプログラムを実行するサーバーです。ボットサーバーは、自分で用意するか、クラウドサービスを利用するか、ボット開発ツールを利用するか、のいずれかの方法で準備できます。
ボットサーバーを自分で用意する場合は、Messaging API SDKを利用すると便利です。Messaging API SDKは、LINEが提供する公式のライブラリで、各種プログラミング言語に対応しています。
ボットサーバーをクラウドサービスで利用する場合は、HerokuやGoogle App Engineなどのサービスを利用可能です。これらのサービスは、無料で利用できるプランがあります。
ボットサーバーをボット開発ツールで利用する場合は、LINE Bot DesignerやBot Frameworkなどのツールを利用できます。これらのツールは、コーディングなしでボットを作成できるツールです。
4.Webhook URLを設定する
Webhook URLとは、LINEプラットフォームからボットサーバーにWebhookイベントを送信するためのURLです。Webhookイベントとは、ユーザーがLINE公式アカウントにメッセージを送信したり、友だち追加したり、などのイベントです。
Webhook URLを設定するには、チャネルページのMessaging API設定タブで、Webhook送信を利用するをオンにし、Webhook URLにボットサーバーのURLを入力します。Webhook URLは、HTTPSで始まる有効なURLでなければなりません。
Webhook URLを設定したら、検証ボタンをクリックして、Webhook URLが正しく動作するかを確認します。検証に成功したら、Webhook URLの設定は完了です。
5.チャネルアクセストークンを発行する
チャネルアクセストークンとは、ボットサーバーがLINEプラットフォームにメッセージを送信するためのトークンです。チャネルアクセストークンは、チャネルごとに発行されます。
チャネルアクセストークンを発行するには、チャネルページのMessaging API設定タブで、チャネルアクセストークン(長期)の発行ボタンをクリックします。チャネルアクセストークンは、コピーしてボットサーバーのプログラムに貼り付けます。
チャネルアクセストークンは、定期的に再発行するのがおすすめです。再発行するには、チャネルアクセストークン(長期)の再発行ボタンをクリックします。再発行すると、以前のチャネルアクセストークンは無効となります。
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LINE Messaging APIの機能と活用事例10選
以下では、LINE Messaging APIの機能と活用事例を解説します。主な活用事例は、次の通りです。
- 応答メッセージを送る
- 任意のタイミングでメッセージを送る
- さまざまなタイプのメッセージを送る
- ユーザーが送ったコンテンツを取得する
- ユーザープロフィールを取得する
- グループトークに参加する
- リッチメニューを使う
- ビーコンを使う
- アカウント連携を使う
- 送信メッセージ数を取得する
それぞれ解説します。
1.応答メッセージを送る
ユーザーからのメッセージに対して、自動的に応答メッセージを送信できます。応答メッセージは、あらかじめ設定したテキストや画像などのメッセージを送ることもできますし、ユーザーのメッセージ内容に応じて動的に生成したメッセージを送ることもできます。
例えば、ユーザーが「こんにちは」とメッセージを送ったら、「こんにちは、○○さん」と返すような応答メッセージが可能です。
2.任意のタイミングでメッセージを送る
ユーザーからのメッセージに対する応答だけでなく、任意のタイミングでメッセージを送信できます。これは、プッシュメッセージと呼ばれる機能です。
プッシュメッセージでは、ユーザーの行動や状況に応じて、タイムリーにメッセージを送ることができます。例えば、ユーザーが友だち追加したら「友だち追加ありがとうございます」とメッセージを送ったり、ユーザーの誕生日になったら「お誕生日おめでとうございます」とメッセージを送ったりできます。
3.さまざまなタイプのメッセージを送る
LINE Messaging APIでは、テキストだけでなく、画像、動画、音声、スタンプ、位置情報、テンプレートなどのさまざまなタイプのメッセージを送受信できます。
これらのメッセージは、ユーザーの興味や関心を引くだけでなく、ユーザーにアクションを促すことも可能です。例えば、テンプレートメッセージは、ボタンやカルーセルなどのインタラクティブな要素を含むメッセージで、ユーザーにタップしてもらうことで、商品の詳細を見せたり、予約や購入などの処理を行ったりできます。
4.ユーザーが送ったコンテンツを取得する
ユーザーがLINE公式アカウントに送った画像や動画などのコンテンツを取得できます。
これは、コンテンツの保存や分析などに利用可能です。例えば、ユーザーがレシートの画像を送ったら、その画像をOCR(光学文字認識)で読み取って、購入した商品や金額などの情報を取得できます。
5.ユーザープロフィールを取得する
ユーザーのプロフィール情報を取得できます。プロフィール情報には、ユーザーID、表示名、画像URL、ステータスメッセージなどが含まれます。
これらの情報は、ユーザーの属性や嗜好を把握したり、ユーザーにパーソナライズしたメッセージを送ったりするのに役立ちます。
6.グループトークに参加する
LINE公式アカウントは、ユーザーとの1対1のトークだけでなく、グループトークにも参加可能です。
グループトークに参加すると、グループ内のユーザーとのコミュニケーションが可能となります。例えば、グループ内のユーザーにメッセージを送ったり、グループ内のユーザーからのメッセージに応答したりできます。
7.リッチメニューを使う
リッチメニューとは、LINE公式アカウントのトーク画面下部に表示されるメニューです。
リッチメニューは、画像やテキストを含むカスタマイズ可能なメニューで、ユーザーにタップしてもらうことで、メッセージの送信やURLの遷移などのアクションを実行できます。
リッチメニューは、ユーザーによく使われる機能や情報に簡単にアクセスできるようにする際に便利です。
8.ビーコンを使う
ビーコンとは、Bluetooth Low Energy(BLE)を使って、近距離のユーザーにメッセージを送信できるデバイスです。ビーコンをLINE公式アカウントと連携すると、ユーザーがビーコンの範囲内に入ったときに、プッシュメッセージを送信できます。
ビーコンは、店舗やイベントなどの現場で、ユーザーにタイムリーな情報やサービスを提供するのに有効です。
9.アカウント連携を使う
アカウント連携とは、LINEアカウントと他のサービスのアカウントを連携する機能です。
アカウント連携をすると、ユーザーはLINEの認証情報を使って他のサービスにログインできます。また、LINE公式アカウントと他のサービスのデータを連携することも可能です。
アカウント連携は、ユーザーの利便性を高めたり、ユーザーの属性や行動を分析したりするのに役立ちます。
10.送信メッセージ数を取得する
LINE公式アカウントが送信したメッセージの数を取得できます。これは、メッセージ配信の効果測定や分析に利用できます。
メッセージの数は、日別、月別、送信先別などの条件で取得可能です。
LINE Messaging APIの料金と注意点
以下では、LINE Messaging APIの料金と注意点を解説します。
LINE Messaging APIの料金プランと無料メッセージ通数
LINE Messaging APIは、ユーザーとのメッセージのやり取りを可能にするAPIです。
LINE Messaging APIには、無料で使えるフリープランと、月額料金がかかるライトプランとスタンダードプランの3種類のプランがあります。
フリープラン
フリープランは、月間1,000通までのメッセージを無料で送信できます。ただし、追加メッセージは送信できません。
ライトプラン
ライトプランは、月額5,000円で、月間15,000通までのメッセージを無料で送信できます。追加メッセージは1通あたり5円で送信可能です。
スタンダードプラン
スタンダードプランは、月額15,000円で、月間45,000通までのメッセージを無料で送信できます。追加メッセージは1通あたり3円から5円で送信可能です。
なお、メッセージの数は、プッシュメッセージのみがカウントされ、リプライメッセージやLINEミニアプリからのメッセージはカウントされません。
LINE Messaging APIの利用規約と審査基準
LINE Messaging APIを利用するには、LINE Developersの利用規約とLINEプラットフォームポリシーに同意する必要があります。これらの規約やポリシーは、LINE Messaging APIの利用目的や内容、禁止事項などを定めたものです。
LINE Messaging APIを利用するには、チャネルの審査が必要です。チャネルとは、LINEプラットフォームの機能を利用するための通信路です。
チャネルの審査は、LINEが提供する審査ツールで行われます。審査ツールでは、チャネルの基本情報やメッセージの内容、ユーザーのプライバシー保護などを確認します。
チャネルの審査には、通常1週間程度かかります。審査に合格したら、LINE Messaging APIを利用可能です。また、審査に不合格になった場合は、審査結果に従って修正して再申請する必要があります。
▼下記の資料では、LINE公式アカウント運用のコツをわかりやすく解説しています。
・LINE公式アカウントのブロックとは
・LINE公式アカウントがブロックされる理由
・ブロックされないための運用方法
・LINE公式アカウントをブロックされないために
LINE公式アカウントを運用する際は、登録ユーザーからのブロックを極力減らすことが重要です。本資料では、LINE公式アカウントがブロックされてしまう理由や、ブロックされない方法、運用の仕方を詳しく解説しています。ぜひ下記よりダウンロードしていただき、貴社のLINE公式アカウントの運用にお役立てください。
LINE Messaging APIのまとめ
このように、LINE Messaging APIとは、LINEのアカウントを通じてユーザーとの双方向コミュニケーションを実現するAPIです。
LINE Messaging APIを活用するメリットとしては、以下のようなものがあります。
- LINEの利用者数が多いため、幅広いユーザーにアプローチできる
- LINEの認証や決済などを利用することで、ユーザーの利便性や信頼性を高めることができる
- さまざまなタイプのメッセージやリッチメニュー、ビーコンなどの機能を使って、ユーザーにアクションを促すことができる
- ユーザーのプロフィールや行動履歴などのデータを取得して、パーソナライズしたメッセージを送ることができる
- ボットサーバーを自分で用意するか、クラウドサービスやボット開発ツールを利用するか、のいずれかの方法で準備できる
- フリープランで月間1,000通までのメッセージを無料で送信できる
- 日本で開発されていることもあり、ドキュメントが読みやすい
一方、LINE Messaging APIには、以下のようなデメリットもあります。
- すべてのシステムやアプリの機能を実現できるわけではない
- フリープランでは追加メッセージは送信できず、有料プランにすると月額料金がかかる
- SDKによっては全てのAPIがサポートされているとは限らないため、完全に自分でコントロールできない
- LINE Developersの利用規約やLINEプラットフォームポリシーに同意する必要がある
- チャネルの審査が必要となる
そこで、LINE Messaging APIを有効活用するためには、「hachidori」の利用がおすすめです。
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- 自動応答(Q&A)、自動処理(スコアリング、データベース更新)で効率化したい
- LINEを活用した自動チャット型接客の実現したい
- 社外からの問い合わせの効率化したい
- 新規顧客獲得の漏れを防ぎたい
上記のような課題がある方は、ぜひ参考資料としてご活用ください。