国内月間利用者数が9,700万人を超えるLINE。今や企業のマーケティング活動において、なくてはならないコミュニケーションツールとして定着しています。しかし、LINE公式アカウントの運用においては、適切な料金プランの選択と効果的な運用方法の確立が重要な課題となっています。
デジタル化の加速に伴い、より戦略的なLINE活用が求められています。企業規模や業種を問わず、コスト効率を意識しながら、いかに効果的な顧客コミュニケーションを実現するかが成功のカギとなっているのです。
本記事では、LINE公式アカウントの料金プランを詳しく解説するとともに、コスト最適化を実現するための具体的な運用方法をご紹介します。コミュニケーションプラン(無料)からスタンダードプランまで、それぞれのプランの特徴や活用方法、さらには費用対効果を最大化するための実践的なアプローチまで解説していきます。
変革期を迎えるLINEビジネス活用|最新動向と企業の課題
2025年を迎え、LINEのビジネス活用は新たな局面を迎えています。顧客接点のデジタル化が加速する中、企業のLINE活用はより戦略的かつ効率的なアプローチが求められています。
9,700万人が利用するLINEの現状
2024年3月末時点で、LINEの国内月間利用者数は9,700万人を突破しました。この数字は、日本の総人口の約77%に相当し、あらゆる年齢層に普及していることを示しています。
特に注目すべきは、LINEが単なるコミュニケーションツールから、企業と顧客をつなぐ重要なビジネスプラットフォームへと進化していることです。日常的なメッセージのやり取りに加え、情報収集、商品購入、カスタマーサポートなど、多様な用途で活用されています。
企業のLINE活用における新たな可能性
企業のLINE活用は、従来の一方向的な情報発信から、双方向のコミュニケーションを活かした顧客体験の向上へと進化しています。
具体的には以下のような活用が進んでいます。
- リアルタイムなカスタマーサポート対応
- パーソナライズされた商品レコメンデーション
- 会員データと連携したターゲティング施策
- オムニチャネルマーケティングの重要な接点
このように、LINE公式アカウントは単なる告知ツールから、顧客との継続的な関係構築を実現する戦略的なプラットフォームへと発展しています。
コスト最適化の重要性
一方で、LINE公式アカウントの運用におけるコスト最適化は、多くの企業にとって重要な課題となっています。
特に以下の点が課題として挙げられます。
メッセージ配信コストの増大
- 友だち数の増加に伴う配信コストの上昇
- 不適切なセグメンテーションによる無駄な配信
運用効率の問題
- 手動での配信管理による工数増加
- データ分析と効果測定の複雑化
投資対効果の測定
- 適切なKPI設定の必要性
- ROI向上のための施策立案
これらの課題に対応するためには、適切な料金プランの選択と、効率的な運用方法の確立が不可欠です。
LINE公式アカウントの料金プラン体系を徹底解説
LINE公式アカウントの料金プランは企業規模や利用目的に応じて、3つの料金プランから最適なものを選択できます。
3つの料金プランの特徴と違い
プラン名 | 月額料金 (税別) | 月間無料メッセージ数 | 追加メッセージ対応 | 主な用途 |
コミュニケーション | 0円 | 200通 | 不可 | 試験的な運用、少数顧客とのコミュニケーション |
ライト | 5,000円 | 5,000通 | 不可 | 定期的な情報発信、販促活動の展開 |
スタンダード | 15,000円 | 30,000通 | 可能 | 本格的なマーケティング活動、大規模キャンペーン |
重要なポイントとして、これら3つのプランは機能面での制限がないことが挙げられます。料金プランの違いは、月間のメッセージ配信数の上限のみとなっています。
プランごとのメッセージ配信数と費用の関係
各プランにおける配信可能なメッセージ数と友だち数の関係は以下のようになります。
月1回配信の場合
プラン | 月間配信数 | 月1回配信時の最大友だち数 |
コミュニケーション | 200通 | 200人 |
ライト | 5,000通 | 5,000人 |
スタンダード | 30,000通 | 30,000人 |
月4回配信の場合
プラン | 月間配信数 | 月4回配信時の最大友だち数 |
コミュニケーション | 200通 | 50人 |
ライト | 5,000通 | 1,250人 |
スタンダード | 30,000通 | 7,500人 |
配信頻度が増えるほど、対応できる最大友だち数は比例して減少することに注意が必要です。
追加料金が発生するケースと対策
追加料金が発生するのは、スタンダードプランで月間無料メッセージ数(30,000通)を超過した場合のみです。
スタンダードプランでは、配信数に応じて段階的に単価が下がる仕組みとなっています。
追加メッセージ配信数 | 単価 | 配信単価(目安) |
~50,000 | 3.0円 | 3.00円 |
50,001~100,000 | 2.8円 | 3.00~2.90円 |
100,001~200,000 | 2.6円 | 2.90~2.75円 |
200,001~300,000 | 2.4円 | 2.75~2.63円 |
300,001~400,000 | 2.2円 | 2.63~2.53円 |
400,001~500,000 | 2.0円 | 2.53~2.42円 |
500,001~600,000 | 1.9円 | 2.42~2.33円 |
600,001~700,000 | 1.8円 | 2.33~2.26円 |
700,001~800,000 | 1.7円 | 2.26~2.19円 |
800,001~900,000 | 1.6円 | 2.19~2.12円 |
900,001~1,000,000 | 1.5円 | 2.12~2.06円 |
1,000,001~3,000,000 | 1.4円 | 2.06~1.62円 |
3,000,001~5,000,000 | 1.3円 | 1.62~1.49円 |
5,000,001~7,000,000 | 1.2円 | 1.49~1.40円 |
7,000,001~10,000,000 | 1.1円 | 1.40~1.31円 |
追加料金抑制のためには以下の対策が有効です。
セグメント配信の戦略的活用
過去の開封率データや顧客属性に基づき、配信対象を適切に絞り込むことで、無駄な配信を削減できます。例えば、商品カテゴリーへの興味関心や過去の購買履歴に応じて配信対象を選定することで、より効率的な配信が可能になります。
非課金メッセージの効果的な活用
LINEチャットや応答メッセージ、あいさつメッセージなどの非課金機能を効果的に組み合わせることで、コミュニケーションの質を落とすことなく、配信コストを抑制できます。
配信計画の最適化
メッセージ内容の集約や配信タイミングの見直しにより、同じ効果を少ない配信回数で実現することが可能です。各配信の効果測定を行い、PDCAサイクルを回すことで、継続的な改善を図ることができます。
業種・規模別に見る最適な料金プラン選択

LINE公式アカウントの料金プラン選択は、事業規模や業種特性によって最適な選択肢が異なります。メッセージ配信数や運用方法を考慮しながら、最適なプランを選択することが重要です。
小規模向け(コミュニケーションプラン)
小規模事業者やローカルビジネスには、コミュニケーションプラン(無料)が理想的な入口となります。個人店舗や小規模小売店、個人事業主などが該当し、主にチャット機能を活用した顧客とのコミュニケーションに重点を置く運用が効果的です。
月間200通という制限の中で最大限の効果を得るためには、重要度の高い情報に絞った配信設計が不可欠です。季節商品の入荷情報や限定メニューの案内、営業時間の変更など、緊急性の高い情報を優先的に配信することで、限られた配信枠を有効活用できます。
また、予約管理や問い合わせ対応をチャットで行うことで、課金対象外のメッセージを活用した密なコミュニケーションが可能になります。小規模事業者ならではの、きめ細やかな顧客対応を実現できる点が大きな魅力です。
中規模向け(ライトプラン)
中規模企業に適したライトプラン(月額5,000円)は、月間5,000通のメッセージ配信枠を活用し、定期的な情報発信と販促活動を展開できます。複数店舗を展開する小売チェーンや地域密着型のサービス業、EC事業者などが代表的な例です。
効果的な運用のポイントは、計画的な配信スケジュール管理にあります。週1回の定期的な商品情報配信に加え、月2回程度の特売情報、そして不定期のイベント告知を組み合わせることで、顧客との継続的な接点を確保できます。
さらに、地域や顧客セグメント別の情報発信、購買履歴に基づく商品レコメンドなど、属性情報を活用したターゲティングも可能です。これにより、より効果的な販促活動を展開することができます。
大規模向け(スタンダードプラン)
大規模企業や全国チェーン展開している企業向けのスタンダードプラン(月額15,000円)は、高度なマーケティング活動を可能にします。大手小売チェーンや全国展開するサービス業、大手EC事業者、金融機関などが、このプランを活用しています。
データを活用した最適化が、このプランの大きな特徴です。購買行動分析に基づくセグメント配信や、地域・店舗別の配信最適化、会員ステータスに応じた特典提供など、きめ細かなアプローチが可能です。
追加メッセージ料金の発生を考慮したコスト最適化も重要な要素となります。配信効果の測定と改善、セグメント配信による無駄の削減、非課金機能の戦略的活用など、包括的な運用戦略が求められます。
また、オムニチャネル施策との連携やCRMデータの活用、キャンペーンの効果測定など、統合的なマーケティング展開も可能です。大規模な顧客基盤を持つ企業だからこそ、データドリブンな運用によって高い投資対効果を実現できます。
費用対効果を最大化する実践的アプローチ
LINE公式アカウントの運用では、配信コストを抑えながら効果を最大化することが重要です。無料機能の戦略的な活用、効果的なセグメント配信、そしてデータ分析による継続的な改善が、成功への鍵となります。
無料機能の戦略的活用法
LINE公式アカウントには、メッセージ配信以外にも効果的な無料機能が多数用意されています。その代表的な機能がリッチメニューです。トーク画面下部に常時表示されるリッチメニューは、配信費用をかけることなく、ユーザーへの継続的な訴求が可能です。
実際、リッチメニュー経由での購入が全体の7割を占めるケースもあり、LINE経由の売上に大きく貢献しています。画像やテキストによる視覚的な訴求に加え、タップ一つで目的のページへ誘導できる利便性の高さが特徴です。
また、応答メッセージやあいさつメッセージも課金対象外となる重要な機能です。これらを活用することで、友だち追加時の最初の接点から、効果的なコミュニケーションを築くことができます。
セグメント配信による効率化
セグメント配信は、配信コストを抑えながら反応率を高める有効な手法です。LINE公式アカウントの標準機能「オーディエンス」を活用することで、追加コストなくセグメント配信を実現できます。
特に効果的なのが「インプレッションリターゲティング」です。過去のメッセージ開封者、つまり特定の商品やサービスに興味を示したユーザーに絞って配信することで、高い反応率を期待できます。
また、「リッチメニューインプレッションリターゲティング」を活用すれば、直近でトーク画面を開いたアクティブなユーザーを特定し、効率的な配信が可能になります。これにより、トーク画面を開かない非アクティブユーザーへの無駄な配信を避けることができます。
データ分析を活用した最適化戦略
効果的な運用のためには、配信結果の分析とそれに基づく改善が不可欠です。メッセージごとの開封率、クリック率、コンバージョン率などの基本指標に加え、時間帯や曜日による反応率の違いなども重要な分析ポイントとなります。
具体的な最適化の例として、配信時間の調整があります。データ分析により、業種や顧客層によって最適な配信時間帯が異なることがわかっています。例えば、飲食店では昼食前の11時台、アパレルでは帰宅後の20時台に高い反応が見られるケースが多く見られます。
さらに、ID連携を活用することで、より精緻な分析と最適化が可能になります。会員情報と連携することで、購買履歴や会員ステータスに応じたパーソナライズされた配信を実現できます。実際の事例では、配信量を25分の1に抑えながらも売上を向上させた企業もあります。
今後のLINE公式アカウント活用
LINE公式アカウントの活用は、単なるメッセージ配信ツールから、総合的なマーケティングプラットフォームへと進化しています。最新テクノロジーの活用と戦略的な運用アプローチにより、さらなる効果向上が期待できます。
最新テクノロジーによる運用効率化
LINE公式アカウントの運用効率を高めるため、各種マーケティングツールとの連携が進んでいます。例えば、LINE公認テクノロジーパートナーが提供するツールを活用することで、より細かなセグメント配信や自動化された配信設定が可能になります。
特に注目すべきは、アンケート機能とセグメント配信の連携です。LINE上でアンケートを実施し、その回答結果に基づいて即座にセグメントを作成し配信できる仕組みにより、ユーザーの興味関心に応じたタイムリーなアプローチが実現できます。
また、ECサイトとの連携による自動配信も効率化の重要なポイントです。カート放棄時の自動フォローや、閲覧履歴に基づくレコメンド配信など、ユーザーの行動に応じた最適なコミュニケーションが可能になっています。
投資対効果を高めるために
ファーストパーティデータの活用
会員IDとLINEアカウントを連携させることで、自社が保有する顧客データを活用した精度の高いターゲティングが可能になります。実際の購買履歴や会員ステータスに基づく配信により、より効果的なアプローチを実現できます。
オムニチャネル施策との連携
メールやアプリ内メッセージなど、他のコミュニケーションチャネルと組み合わせることで、相乗効果を生み出すことができます。各チャネルの特性を活かしながら、統合的なマーケティング施策を展開することが重要です。
配信効果の可視化と継続的な改善
開封率やクリック率といった基本指標に加え、売上への貢献度や顧客生涯価値(LTV)への影響など、より本質的な指標での効果測定が求められます。これらの分析結果に基づき、PDCAサイクルを回していくことで、継続的な改善を図ることができます。
LINE公式アカウント運用成功へのポイント
LINE公式アカウントの運用成功には、適切な料金プランの選択と効果的な運用方法の確立が不可欠です。企業規模や業種に応じて、コミュニケーション、ライト、スタンダードの3つのプランから最適なものを選択し、無料機能の戦略的活用とセグメント配信による効率化を図ることが重要です。
特に重要なのは、リッチメニューやチャット機能などの無料機能を最大限に活用しながら、ID連携やデータ分析を通じて配信の最適化を進めることです。さらに、最新テクノロジーの活用による運用効率化と、オムニチャネル施策との連携により、より高い費用対効果を実現することができます。
このように、LINE公式アカウントは単なるメッセージ配信ツールではなく、顧客との継続的な関係構築を実現する戦略的なプラットフォームとして活用することで、その真価を発揮します。
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