国内9,900万人以上が利用するLINE(2025年6月末時点)は、企業と顧客をつなぐ強力なビジネスツールです。LINE公式アカウントを活用すれば、メッセージ配信やクーポン発行、個別チャット対応など、多彩な機能を通じて顧客との関係を深められます。
メールマガジンと比べて約60~80%という高い開封率が特徴で、ユーザーの日常的なコミュニケーションの中に自然に情報を届けられます。本記事では、LINE公式アカウントで「できること」を機能別に整理し、ビジネス活用のポイントを具体的に解説します。
これから導入を検討している方も、すでに運用中でさらに活用の幅を広げたい方も、ぜひ参考にしてください。

顧客と直接つながる「コミュニケーション機能」
LINE公式アカウントの核となるのが、顧客と直接コミュニケーションできる各種メッセージ機能です。一斉配信で情報を確実に届けられるだけでなく、1対1のチャットで個別対応したり、自動応答で営業時間外もカバーしたりと、顧客接点を幅広くつくれます。
さらにステップ配信を活用すれば、友だち追加後のタイミングに応じた情報提供を自動化し、効率的に顧客を育成できます。まずは、顧客とのコミュニケーションを深めるための主要機能を見ていきましょう。
メッセージ配信で確実に情報を届ける
友だち登録してくれた顧客に対して、新商品の案内やキャンペーン情報を一斉送信できるのがメッセージ配信機能です。テキストだけでなく、画像や動画、URLリンクを含めた多彩な形式でコンテンツを届けられます。

最大の特徴は到達率と開封率の高さです。メールと異なり迷惑フォルダに振り分けられる心配がなく、プッシュ通知によってユーザーの目に留まりやすい仕組みになっています。配信したメッセージは管理画面上で既読率やリンクのクリック数を確認でき、反応のよかった内容を次回に生かせます。
効果的な配信を行うには、タイミングと頻度の調整が重要です。ターゲット顧客がLINEをチェックしやすい時間帯を狙って配信することで、開封率が大きく変わります。飲食店であれば昼食前の11時台や夕方の17時台、小売店なら週末の午前中など、業種によって最適な時間帯が異なります。
配信頻度については、有益な情報を月2~4回程度にとどめるのが一般的です。あまりに頻繁だとブロックされるリスクが高まるため、内容の質を重視しながら適度な間隔を保ちましょう。
1対1チャットで個別対応を実現
ユーザーから送られてくる質問や相談に対して、個別にやり取りできるのがチャット機能です。電話やメールよりも気軽にコミュニケーションでき、リアルタイムでの対応が可能なため、顧客満足度の向上につながります。

チャット対応の強みは、対話履歴がすべて記録される点です。過去のやり取りを参照しながら応答できるため、「前回お問い合わせいただいた件ですが」といった継続的なフォローが自然に行えます。複数のスタッフで対応する場合でも、履歴を共有することで一貫したサポートを提供できます。
実際の活用例として、飲食店では予約受付や空席確認、美容院では施術内容の相談、ECサイトでは在庫確認や配送状況の問い合わせなど、幅広い用途で利用されています。特に高額商品や専門的なサービスを扱う業種では、購入前の不安を解消する手段として効果的です。
迅速な返信が求められるツールですが、営業時間や対応可能時間を明示しておけば、ユーザーとの期待値を調整できます。すぐに返信できない時間帯については、次に紹介する自動応答機能と組み合わせることで、24時間体制のコミュニケーションを実現できます。
自動応答で24時間対応を可能にする
営業時間外や担当者が対応できない状況でも、ユーザーを待たせずに対応できるのが自動応答機能です。特定のキーワードに反応して自動的にメッセージを返す仕組みで、よくある質問への回答を自動化できます。

キーワード応答では、ユーザーが「営業時間」「料金」「アクセス」といった単語を含むメッセージを送った際に、あらかじめ登録した回答を自動で返信します。複数のキーワードパターンを設定しておけば、多様な問い合わせに対応できます。
また友だち追加直後に送られる「あいさつメッセージ」も自動応答の一種です。最初の接触で好印象を与える重要なタイミングなので、ここで初回特典クーポンを添付したり、アカウントの使い方を案内したりすることで、その後の関係性を深められます。
自動応答を設定する際は、機械的な印象を与えすぎないよう配慮が必要です。「お問い合わせありがとうございます」といった温かみのある言葉を添えたり、解決しない場合の誘導先を明示したりすることで、ユーザー体験を損ないません。人間による対応と自動応答をうまく使い分けることが、効率的な運用のポイントです。
ステップ配信で顧客を育成する
友だち追加後の特定のタイミングで、段階的にメッセージを送信できるのがステップ配信機能です。ユーザーの興味関心を段階的に高めていく「リードナーチャリング」の手法として活用されています。

例えば友だち追加直後にあいさつメッセージを送り、3日後に商品の使い方ガイド、7日後に期間限定クーポンといったシナリオを組むことで、ユーザーとの関係性を自然に深められます。一度シナリオを設定すれば自動で配信されるため、運用の手間を抑えながら継続的なコミュニケーションを維持できます。
効果的なステップ配信を設計するには、ユーザーの心理変化を意識することが重要です。最初は商品やサービスの認知を促し、次に具体的な価値を伝え、最後に購入や来店といった具体的なアクションを促す流れが基本になります。
また特定の行動をきっかけにした配信も可能です。クーポンを取得したがまだ使用していないユーザーに対して、期限が近づいたタイミングでリマインドを送るといった使い方ができます。こうした行動に応じた配信で、よりパーソナライズされたコミュニケーションを実現できます。
来店・購入を促す「販促・集客機能」
LINE公式アカウントには、顧客の購買行動を直接促進する販促機能が充実しています。デジタルクーポンの配布やポイントカードの運用、常設メニューによる導線設計など、来店や購入のきっかけをつくる仕掛けを簡単に実装できます。
これらの機能を組み合わせることで、新規顧客の獲得からリピーター育成まで、一貫した販促活動をLINE上で完結できます。紙媒体のチラシやポイントカードに比べてコストを抑えながら、より高い効果が期待できる点も魅力です。ここでは売上向上に直結する機能を具体的に解説します。
クーポンで購買行動を後押しする
LINE上でデジタルクーポンを発行・配布できる機能は、即効性のある販促ツールとして広く活用されています。割引クーポンや特典引換券、サービス無料券など、多様な形式のクーポンを簡単に作成できます。


クーポンの強みは、配布から利用までのハードルが低い点です。紙のクーポンと異なり、ユーザーはスマートフォン上で保管でき、店頭では画面を提示するだけで利用できます。また有効期限や利用回数の制限を細かく設定できるため、「今すぐ使わなければ」という緊急性を演出することもできます。
配布方法も柔軟です。メッセージ配信で全友だちに一斉送信したり、友だち追加特典として自動送信したり、リッチメニューに常設して必要な人が取得できるようにしたりと、目的に応じて使い分けられます。
効果測定も容易で、管理画面から取得数と実際の使用数を確認できます。この数値を分析することで、どの程度の割引率や特典内容が効果的だったかを把握でき、次回のキャンペーン設計に生かせます。先着限定や期間限定といった希少性の演出と組み合わせることで、さらに高い集客効果が期待できます。
ショップカードでリピーターを育てる
デジタルポイントカードを提供できるのがショップカード機能です。来店や購入のたびにスタンプがたまり、規定数に達すると特典を受け取れる仕組みで、顧客のリピート促進に効果を発揮します。

紙のポイントカードと比較した際の最大の利点は、紛失や忘れのリスクがない点です。LINE上に保存されているため、顧客は常にスマートフォンで確認でき、「カードを持ってくるのを忘れた」という機会損失を防げます。
店舗側にとっても、誰が何回来店したかというデータを自動で蓄積できるメリットがあります。こうしたデータを活用して、あと何回で特典獲得といったリマインドメッセージを送ったり、しばらく来店が途絶えた顧客に再来店を促すメッセージを送ったりできます。
特典設定については、顧客が無理なく達成できる範囲に設定することが重要です。スタンプ数が多すぎると途中で諦められてしまうため、業種や来店頻度に応じた適切な設計が求められます。飲食店なら5~10回、美容院なら3~5回といった具合に、常連客が数カ月で達成できる程度が目安です。
リッチメニューで顧客を目的の行動へ誘導
チャット画面の下部に常時表示される画像メニューがリッチメニューです。最大6つのボタンエリアを配置でき、それぞれに異なるリンクや機能を割り当てられます。顧客が求める情報や機能へワンタップでアクセスできる導線として機能します。
-2.png)

リッチメニューの利点は、視覚的な訴求力と操作の簡便性を兼ね備えている点です。テキストでの案内と異なり、画像として常に視界に入るため、ユーザーに行動を促しやすくなります。また複数の機能を一つの画面に集約できるため、顧客は目的の情報にすぐたどり着けます。
実際の活用例として、ECサイトでは「新商品を見る」「セール会場」「お気に入り」といったショッピング機能を配置し、飲食店では「メニュー」「予約」「アクセス」といった来店に必要な情報を集約するケースが一般的です。
リッチメニューは季節やキャンペーンに合わせて変更できるため、定期的に内容を見直すことで鮮度を保てます。また管理画面では各ボタンのタップ数を確認できるため、どのメニューが利用されているか、逆にどのメニューが活用されていないかを把握し、配置を最適化できます。
LINE VOOMで認知拡大を図る
LINE VOOM(旧タイムライン)は、ショート動画や画像付き投稿を配信できる機能です。友だち登録しているユーザーだけでなく、投稿がシェアされることで友だち以外にもリーチできる可能性があります。

VOOMの特徴は、メッセージ配信と異なりユーザーが能動的に情報を閲覧する点です。そのため一方的な宣伝ではなく、読み物として価値のあるコンテンツや、エンタメ性のある投稿が好まれる傾向があります。商品の使い方動画やスタッフの日常、イベントレポートなど、ブランドの世界観を伝えるコンテンツに向いています。
ハッシュタグを活用することで、特定のテーマに興味を持つユーザーに投稿が届きやすくなります。また「いいね」やコメント機能を通じて、フォロワーとの双方向コミュニケーションも可能です。
定期的に投稿することでアカウントの存在感を維持できますが、投稿頻度は週1~2回程度に抑えるのが適切です。メッセージ配信と異なり、VOOMはユーザーが見たいときに見る形式なので、過度な投稿でもブロックされるリスクは低いものの、質の高いコンテンツを継続的に提供する姿勢が重要です。
運用効率と効果を高める「分析・管理機能」
施策を打ちっぱなしにせず、データに基づいて改善していくには分析機能の活用が欠かせません。LINE公式アカウントには、友だちの属性データからメッセージの開封率、クーポンの利用状況まで、詳細なレポート機能が標準で備わっています。
これらのデータを活用してセグメント配信を行えば、よりパーソナライズされた情報提供が可能になり、顧客満足度の向上につながります。また無料プランから始められる柔軟な料金体系も、スモールスタートを可能にする重要な要素です。ここでは運用を支える機能について説明します。
分析機能で施策の効果を可視化
管理画面には詳細な分析ダッシュボードが用意されており、友だち数の推移からメッセージ配信の効果まで、多角的なデータを確認できます。数値に基づいた運用改善を行うための土台となる機能です。

まず友だち数については、日別・週別・月別で新規追加数とブロック数を把握できます。キャンペーンを実施したタイミングで友だちが増加しているか、逆に特定の配信後にブロックが増えていないかを確認することで、施策の効果検証とリスク管理ができます。
メッセージ配信については、配信ごとに開封率(既読率)とリンクのクリック数が表示されます。開封率が低い場合は配信時間や件名の見直しが必要であり、クリック数が少ない場合はメッセージ内容やCTAの改善が求められます。こうした数値の変化を追うことで、どのような内容がユーザーの関心を引くかが明確になります。
クーポンやショップカードなどの販促機能についても、取得数と実際の使用数を確認できます。例えばクーポン取得率は高いが使用率が低い場合、特典内容の魅力不足や利用条件の複雑さが原因と考えられます。こうした分析を繰り返すことで、PDCAサイクルを効果的に回せます。
セグメント配信でターゲットを絞り込む
友だち全員に同じ内容を送るのではなく、属性や行動に応じて配信対象を絞り込めるのがセグメント配信機能です。パーソナライズされた情報提供により、メッセージの関連性と効果を高められます。

セグメントの条件として活用できるのは、性別・年齢・居住地といった基本属性のほか、過去のメッセージ開封履歴やクーポン使用履歴などの行動データです。例えば「30代女性で東京都在住、かつ過去3カ月以内にクーポンを使用した」といった複合条件でターゲットを絞れます。
また独自にタグを付与して管理することも可能です。「VIP顧客」「イベント参加者」「初回購入者」といったタグを設定しておけば、それぞれのグループに最適化された情報を届けられます。例えば初回購入者には丁寧なアフターフォローを、VIP顧客には特別な新商品案内を送るといった使い分けができます。
セグメント配信を活用することで、無関心な層への配信を減らし、ブロック率の低減にもつながります。全体配信と比較して反応率が向上するため、限られた配信通数を効率的に活用できる点もメリットです。特に有料プランで配信通数に制限がある場合、セグメント配信による最適化は費用対効果の向上に直結します。
無料から始められる料金プラン
LINE公式アカウントは、初期費用なしで無料プランから始められる点が大きな魅力です。スモールビジネスでも気軽に導入でき、効果を確認しながら段階的に規模を拡大できます。

無料のコミュニケーションプランでは月200通までのメッセージ配信が利用できます。友だち数が少なく、小規模な運用であれば十分に機能を活用できます。クーポンやショップカード、リッチメニューといった基本機能もすべて利用可能です。
配信頻度を増やしたい場合は、月額5,000円のライトプランが選択肢となります。こちらでは月5,000通までの配信が可能です。友だち数が数百人~1,000人規模で、定期的な情報発信を行う場合に適しています。
さらに本格的な運用を目指すなら、月額15,000円のスタンダードプランが用意されています。月30,000通以上の配信が可能で、それ以上は従量課金で追加できます。友だち数が数千人を超えるような規模で、セグメント配信を駆使した高度なマーケティングを行う企業向けのプランです。
まずはコミュニケーションプランで運用を開始し、友だち数の増加や配信ニーズに応じて適切なプランへ移行する方法が、リスクを抑えた導入として推奨されます。
LINE公式アカウントを今すぐ始めよう
LINE公式アカウントは、コミュニケーション・販促・分析という3つの軸で、ビジネスに必要な機能を包括的に提供しています。国内最大級のユーザー基盤を持つLINEだからこそ、幅広い顧客層にリーチでき、日常的な接点を持ち続けられます。
まずは無料プランで基本機能を試し、運用に慣れてきたら配信頻度や内容を調整しながら効果を高めていきましょう。友だち追加特典としてクーポンを用意したり、リッチメニューで顧客が求める情報にすぐアクセスできるようにしたりと、小さな工夫の積み重ねが成果につながります。
さらに本格的な運用を目指す場合は、LINEマーケティング支援ツールの活用も検討してみてはいかがでしょうか。例えば「hachidori(ハチドリ)」のような専門ツールを導入することで、より高度なセグメント配信やチャットボット連携、詳細な分析が可能になります。hachidoriはノーコードで利用できるため、プログラミングの知識がなくても直感的な操作で高度な施策を実装でき、専任担当者による伴走支援も受けられます。
顧客との距離が近いLINEだからこそ、丁寧な運用を心がけることが重要です。一方的な宣伝に終始せず、顧客にとって価値ある情報やサービスを提供し続けることで、ファンを増やし、長期的な関係性を築いていきましょう。
▼株式会社エフ・コードでは、「hachidori」を提供しています。
hachidoriは、配信設定やタグ設計はもちろん、施策の提案・改善まで専任担当がサポートする
“成果直結型のLINEマーケティング支援ツール”です。
まずは機能や活用事例についてまとめた、サービス資料をダウンロードしてみてください。



