昨今のSNSマーケティングの中でも、特に注目を集めているのがLINE公式アカウントです。国内月間利用者数9,700万人という圧倒的なユーザー基盤を持つLINEは、すでに多くの企業のマーケティング戦略に欠かせないツールとなっています。しかし、機能が豊富な分、どこから手をつければよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、LINE公式アカウントの基礎知識から具体的な作成手順、効果的な運用方法まで、実践的な内容を分かりやすく解説します。これから導入を検討している方はもちろん、すでに運用している方にとっても、より効果的な活用のヒントとなる情報を詳しくお伝えしていきます。
LINE公式アカウントとは?
LINEが提供する企業向けの公式アカウントサービスで、37万以上の企業や店舗が活用しています。メッセージ配信やクーポン発行、チャット対応など、顧客とのコミュニケーションを強化するための多彩な機能を備えており、無料プランから始められる手軽さも特徴です。
LINE公式アカウントの特徴
LINE公式アカウントは、企業や店舗が日本最大のコミュニケーションプラットフォームを活用して、顧客とダイレクトにつながることができるビジネスツールです。メールマガジンと比較して圧倒的に高い開封率を誇り、以下のような特徴的な機能を提供しています。
ダイレクトなコミュニケーション
- メッセージ配信機能で、友だち登録したユーザーに直接情報を届けることが可能
- 画像、動画、スタンプなど多彩な表現方法で訴求力の高い情報発信が実現
即効性の高い情報伝達
- プッシュ通知機能により、メッセージが届いた瞬間にユーザーへ通知
- メールマガジンの平均開封率20%に対し、LINE配信では60%以上の高い開封率
充実したマーケティング機能
- クーポン配信による販促活動の展開
- デジタルショップカードでポイント管理
- チャットによる双方向コミュニケーション
- 顧客ニーズ把握のためのアンケート機能
アカウントの種類と選び方
LINE公式アカウントには、大きく分けて「認証済みアカウント」と「未認証アカウント」の2種類があります。事業規模や目的に応じて選択することが重要です。
認証済みアカウント
- LINEの審査を通過した信頼性の高いアカウント
- 青色の認証バッジが付与され、アカウントの信頼性が向上
- LINEアプリ内の検索結果に表示されやすく、新規顧客獲得に有利
- 友だち追加広告など、特別な機能を利用可能
未認証アカウント
- 審査不要で即時作成可能な基本アカウント
- メッセージ配信やクーポン機能など、基本的な機能は利用可能
- 小規模な運用や試験的な導入に最適
- 既存顧客とのコミュニケーション強化に向いている
料金プランの詳細
LINE公式アカウントの料金プランは、利用規模や目的に応じて3つのプランから選択できます。
プラン名 | 月額費用 | 無料メッセージ数 | 追加メッセージ料金 | 特徴 |
コミュニケーションプラン | 0円 | 200通/月 | 不可 | ・初期費用なしで始められるエントリープラン ・小規模店舗や個人事業主に最適 ・基本的な機能をすべて利用可能 |
ライトプラン | 5,000円 | 5,000通/月 | 不可 | ・中規模店舗や定期的な情報配信を行う企業向け ・追加メッセージ配信で柔軟な運用が可能 ・コストパフォーマンスに優れたプラン |
スタンダードプラン | 15,000円 | 30,000通/月 | ~3.0円/通 | ・大規模な配信を行う企業向け ・最も安価な追加メッセージ料金 ・高度なマーケティング施策に対応 |
プラン選択は、まず現状の友だち数と予定している月間配信回数から必要なメッセージ数を算出することから始めましょう。初期段階ではフリープランからスタートし、運用状況を見ながら上位プランへの変更を検討することをおすすめします。
プラン変更は随時可能なので、ビジネスの成長に合わせて柔軟に対応できます。コスト面では、メッセージ配信数が多くなる場合、上位プランの方が追加メッセージ単価が安くなる点も考慮しておくと良いでしょう。
LINE公式アカウントの作成手順
LINE公式アカウントの作成は、LINE Business IDの登録から初期設定まで、3つのステップで完了します。各手順を丁寧に進めることで、効果的なアカウント運用の土台を築くことができます。ここでは、実際の画面に沿って、具体的な作成手順を解説します。
LINE Business IDの登録方法
LINE Business IDは、LINE公式アカウントを含むビジネス向けサービスの共通認証システムです。登録方法は以下の2つから選択できます。
LINEアカウントで登録する場合
- 個人のLINEアカウントにログイン
- QRコード認証、またはメールアドレス・パスワードでログイン
- 自動でLINE Business IDが発行
メールアドレスで登録する場合
- 専用フォームにメールアドレスを入力
- 届いた登録用リンクをクリック
- 名前とパスワードを設定して登録完了
※2024年7月以降、SMS認証が必須となったため、登録時に電話番号の準備が必要です。
アカウント作成の3ステップ
LINE公式アカウントの作成は、以下の3ステップで進めます。
ステップ1:基本情報の入力
- アカウント名:店舗名や企業名を正式名称で入力
- メールアドレス:管理用のメールアドレスを設定
- 所在国・地域:事業を展開している地域を選択
- 業種:最も近いカテゴリを選択
ステップ2:プロフィール情報の設定
- プロフィール画像:ロゴや店舗写真をアップロード
- 背景画像:ブランドイメージに合う画像を設定
- 紹介文:アカウントの目的や特徴を簡潔に記載
ステップ3:認証申請(任意)
- 公式サイトやSNSページの情報準備
- 審査に必要な書類の用意
- 申請フォームの入力と提出
初期設定で必ず行うべき項目
アカウント作成後、以下の初期設定を行うことで、効果的な運用の基盤を整えることができます。
ステップ1:あいさつメッセージの設定
- 管理画面の「トークルーム管理」から設定
- 友だち追加時の自動返信メッセージを作成
- 特典情報や次のアクションへの誘導を含める
ステップ2:リッチメニューの設定
- トーク画面下部に表示される固定メニュー
- ECサイトやクーポンページへのリンクを配置
- デザインと機能性のバランスを考慮
ステップ3:プロフィールページの充実
- 営業時間や定休日の明記
- 店舗所在地と地図情報の追加
- 問い合わせ方法の明確化
ステップ4:個人LINEアカウントとの連携
- テスト配信用のアカウント設定
- プロフィール画面やメッセージの動作確認
- LINE VOOMの公開設定確認
設定完了後はテスト配信を行い、各機能が正しく動作することを確認しましょう。特に、あいさつメッセージやリッチメニューは、実際のユーザー目線で使い勝手を確認することが重要です。
LINE公式アカウントの基本機能と活用方法
LINE公式アカウントには、ビジネスの成長を支援する多彩な機能が搭載されています。特に、メッセージ配信機能やリッチメニュー、クーポンなどの基本機能は、集客や売上アップに直結する重要なツールです。これらの機能を効果的に組み合わせることで、より強力なマーケティング施策を展開することができます。
メッセージ配信機能の使い方
メッセージ配信は、LINE公式アカウントの核となる機能です。単なる情報発信にとどまらず、以下のような多彩な配信方法を活用することで、効果的な顧客コミュニケーションを実現できます。
主な配信タイプ
- テキストメッセージ:基本的な文字情報の配信
- リッチメッセージ:大きな画像とテキストを組み合わせた視覚的な配信
- カードタイプメッセージ:複数商品を横スクロールで表示
- リッチビデオメッセージ:動画自動再生と視聴後の誘導ボタン表示
配信のコツは、1回の配信で最大3つまで使える吹き出しを効果的に組み合わせることです。たとえば、新商品の告知では、1つ目の吹き出しで商品画像を大きく見せ、2つ目で特徴を説明し、3つ目で購入特典を提示するという流れを作ることができます。
また、自動配信機能を活用したステップ配信も効果的です。友だち追加直後にウェルカムメッセージを送信し、その3日後に限定クーポンを配信するなど、計画的なアプローチが可能です。
リッチメニューの活用術
リッチメニューは、トーク画面下部に常時表示される重要な導線です。以下の要素を適切に設定することで、ユーザーの行動を効果的に促すことができます。
項目 | 選択肢 | 用途 |
サイズ | 大(上下2分割) 中(上下3分割) 小(縦1列) | 必要な機能数や視認性で選択 |
表示期間 | 常時表示/時間帯指定 | 営業時間や施策に合わせて設定 |
アクション | リンク/クーポン/テキスト/ショップカード | 目的に応じて使い分け |
効果的なレイアウトの例としては、左側に基本情報(メニュー、店舗案内)、中央に主要サービス(予約、注文)、右側に特典(クーポン、ポイントカード)を配置することで、バランスの取れた導線を作ることができます。
クーポン・ショップカードの設定
クーポンとショップカードは、来店促進とリピーター育成の両面で効果を発揮する機能です。特に実店舗を持つビジネスにとって、これらの機能の活用は売上アップに直結します。
クーポン機能では、単純な割引券だけでなく、商品プレゼントやキャッシュバックなど、様々な特典を設定できます。たとえば、初回来店者向けには「500円OFF」などの分かりやすい特典を用意し、リピーター向けには「ドリンク1杯サービス」といった付加価値の高い特典を設定することで、顧客の段階に応じたアプローチが可能です。
ショップカードは、従来の紙のポイントカードをデジタル化した機能です。QRコードの読み取りや店舗スタッフによる付与など、柔軟な運用が可能です。特典設計では、「10ポイントで500円OFF」「30ポイントで1,000円OFF」といった段階的な設定により、継続的な来店を促すことができます。
これらの機能は単独でも効果を発揮しますが、組み合わせることでより大きな相乗効果が期待できます。特に実店舗を持つビジネスでは、クーポンで初回来店を促し、ショップカードでリピーターへと育成していく、という流れを作ることが重要です。初期段階では、シンプルな設定から始め、顧客の反応を見ながら徐々に施策を発展させていくことをおすすめします。
効果的な運用のポイント

LINE公式アカウントを効果的に運用するためには、友だち数の増加、適切な配信頻度の設定、セグメント配信の活用が重要です。
友だち数を増やすためのコツ
友だち数の増加は、LINE公式アカウントの効果を高める基盤となります。まずは実店舗での獲得施策として、QRコードの効果的な設置が重要です。レジ前や商品棚、店内の目立つ位置にQRコードを配置し、店舗スタッフからの声がけと組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
オンラインでの獲得も忘れずに行いましょう。公式サイトやECサイトにLINE公式アカウントへのリンクを設置し、SNSでも定期的に告知を行います。特に、友だち追加特典は重要な要素です。初回限定クーポンや会員限定情報など、明確なメリットを提示することで、友だち追加のモチベーションを高めることができます。
ブロックを防ぐメッセージ配信のポイント
配信頻度の管理は、ブロック防止の要となります。基本的には週1-2回の配信を目安とし、セール期間中でも週3回までに抑えることをおすすめします。過度な配信は、たとえ良質な情報でもユーザーの離脱を招く可能性があります。
また、配信時間帯も重要な要素です。ターゲット層の生活リズムに合わせた配信が効果的ですので、たとえば、ランチ需要を狙うなら12-13時、夕方の購買層には17-18時、帰宅後の閲覧が多い層には20-22時といった具合です。
さらに、コンテンツ面では、セール情報や新商品案内など、価値ある情報の提供を心がけましょう。特に、LINE限定の特典情報は必ず含めることで、アカウントをフォローする価値を感じてもらうことができます。画像や動画を効果的に活用し、視覚的な訴求も忘れずに行いましょう。
効果を最大化するためのセグメント配信活用法
セグメント配信は、ユーザーの属性や行動データに基づいて、最適な情報を届けるための強力なツールです。基本属性(性別、年齢層、居住地域)と、行動データ(購買履歴、クーポン利用状況)を組み合わせることで、より精度の高いターゲティングが可能になります。
たとえば、新規友だちには初回限定クーポンとサービス説明を、しばらく利用のない休眠顧客には「お久しぶり割引」を、頻繁に利用する優良顧客にはプレミアム特典や先行案内を配信するなど、セグメントごとに異なるアプローチが効果的です。
ただし、セグメント配信を始める際は、2つから3つの条件で簡易的にスタートすることをおすすめします。効果を見ながら徐々に細分化を進めることで、より効果的な運用が可能になります。ターゲットを絞りすぎると配信効率が落ちる可能性もあるため、適度なバランスを保つことが重要です。
成功事例から学ぶLINE公式アカウント活用術
LINE公式アカウントを効果的に活用し、目覚ましい成果を上げている企業の事例を業種別に紹介します。
飲食店での活用事例「串カツ田中」
全国300店舗以上を展開する「串カツ田中」は、モバイルオーダー機能を持つLINEミニアプリ「ダイニー」の導入を軸に、顧客管理とオペレーション効率化を実現しました。
店舗では、テーブルごとに設置したQRコードを活用したモバイルオーダーシステムを展開。来店客が自身のスマートフォンから注文できる仕組みを構築することで、スタッフの業務効率化を図りました。同時に、注文データを活用して顧客の来店履歴や注文傾向を分析し、最適なタイミングでクーポンを配信する仕組みも確立しています。
- 再来店率が3カ月で5.4%向上
- 人件費率が4年間で2.8%改善
- 採用面でも月100-200件のアルバイト応募を獲得
- 店舗によっては売上の約半分をリピーターが占める状況に
出典:LINEヤフー for business
LINEを活用して、3カ月で再来店率5.4%向上 居酒屋「串カツ田中」の集客戦略とは
小売店での活用事例「星の国商事」
北海道で4店舗を展開する化粧品専門店「星の国商事」は、顧客データの一元管理を目指してLINE活用を開始しました。これまでポイントシステム、購入履歴、紙のカウンセリングカルテと分散していた顧客情報を、LINE公式アカウントとLINEミニアプリ「EDWORD」に統合することで、より効率的な顧客管理を実現しています。
特にLINEミニアプリでは、会員証機能とポイント管理機能をPOSレジと連携させることで、購買データに基づいた最適な情報配信を可能にしました。また、従来の電話やDMによる顧客フォローをLINEに移行することで、コミュニケーションコストを大幅に削減しました。
- 年2回以上購入する会員比率が30%から65%に向上
- 顧客単価が123%にアップ
- 年間10万円以上の優良顧客数が112.5%増加
- 通信費と工数の大幅削減を実現
出典:LINEヤフー for business
化粧品専門店だからこその接客をLINEで拡充!LINE公式アカウントとLINEミニアプリでユーザー単価123%に
サービス業での活用事例「明光義塾」
学習塾大手の「明光義塾」は、チャットコマース「ジールス」とLINEプロモーションスタンプを組み合わせた独自の集客戦略を展開しました。Webサイトからの離脱を防ぐため、ジールスを活用してLINE友だち追加を促すポップアップを表示。さらに、オリジナルキャラクター「サボロー」のスタンプを活用したキャンペーンを実施し、友だち数の増加を図りました。
スタンプキャンペーンでは、LINE上で学習塾に関するアンケートに回答することでスタンプがダウンロードできる仕組みを導入。さらに、二次拡散で獲得したユーザーに対して、クイズ形式のコンテンツでアンケート回答を促す工夫も行いました。
- 5カ月間で約20万人の友だち獲得(うち15万人は二次拡散)
- 資料請求数が前年比120%に増加
- アンケート回答率55%を達成
- 友だち獲得単価を従来の3分の1に削減
出典:LINEヤフー for business
チャットコマースとスタンプ施策で前年比120%のコンバージョン獲得!明光義塾のLINE活用
これらの事例分析から見えてきた成功の共通点は、LINE公式アカウントを単なる情報発信ツールとしてではなく、顧客データの統合・分析・活用のプラットフォームとして活用することで大きな成果を上げた、ということです。
串カツ田中では、モバイルオーダーシステムとLINEを連携させることで、来店データに基づく最適なタイミングでのクーポン配信を実現。星の国商事は、従来バラバラだった顧客情報をLINEに統合することで、より効率的な顧客管理を可能にしました。
また、すべての事例に共通するのが、オンラインとオフラインの効果的な連携です。店舗でのQRコード活用やポイントカードのデジタル化など、実店舗での体験とLINEでのコミュニケーションを緊密に結びつけることで、顧客満足度の向上と業務効率化の両立を実現しています。
クーポンやスタンプなどLINE特有の機能を戦略的に活用している点も特徴的です。これらの機能を単独で使うのではなく、自社の顧客戦略に合わせて効果的に組み合わせることで、より大きな成果につながっています。
このように、LINE公式アカウントを活用して成果を上げるためには、単なる情報発信の枠を超え、包括的な顧客戦略の一環として位置付けることが重要といえるでしょう。
LINE公式アカウント活用へはじめの一歩
LINE公式アカウントの効果的な活用には、段階的なアプローチが重要です。まずは基本的な設定から丁寧に行い、土台を固めましょう。プロフィール設定、あいさつメッセージ、リッチメニューなど、ユーザーとの最初の接点となる要素を整えることが成功への第一歩となります。
機能の活用は、メッセージ配信やクーポン機能など、基本的なものから始めることをおすすめします。運用に慣れてきたら、ショップカードやセグメント配信など、より高度な機能を順次導入していきましょう。
また、配信ごとの開封率やクリック率、友だち数の推移などのデータを定期的にチェックし、改善を重ねることが重要です。小さな成功体験を積み重ねながら、自社に最適な活用方法を見つけていくことで、持続的な成果につながります。
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