スマートフォンの普及により、消費者の購買行動は大きく変化しました。特にLINEは国内月間利用者数9,800万人を超える巨大プラットフォームとして、企業のマーケティング活動に欠かせない存在となっています。

その中でもLINE公式アカウントのクーポン機能は、費用をかけずに始められる効果的な販促手段として注目を集めています。実際にLINE社の調査では、58.3%のユーザーが企業から配信されたLINEクーポンを利用したことがあると回答し、多くの企業が売上向上や新規顧客獲得に成功しています。

出典：LINE for Business「LINE公式アカウント「クーポン」の効果的な使い方とは？」

本記事では、LINE公式アカウントのクーポン機能について、基本的な仕組みから効果的な活用方法まで詳しく解説します。紙のクーポンからデジタルへの移行を検討している企業や、既存のLINE公式アカウントをより効果的に活用したい方に向けて、実践的なノウハウをお届けします。

LINE公式アカウントのクーポン機能とは？基本を押さえて効果的な販促を

LINE公式アカウントのクーポン機能は、友だち登録したユーザーに対してデジタルクーポンを配信できる無料の機能です。店頭で画面を提示するだけで割引や特典を受けられる手軽さから、多くの消費者に支持されています。デジタルクーポンならではの特徴と、なぜ多くの企業が導入を進めているのか、その理由を詳しく見ていきましょう。

デジタルクーポンがもたらす新たな顧客体験

デジタルクーポンは、従来の紙のクーポンとは異なる新しい顧客体験を提供します。ユーザーはスマートフォンの画面に表示されるクーポンを店頭で提示するだけで、簡単に特典を受けることができます。

LINEクーポンの最大の特徴は、トーク画面に直接届くため見逃しにくく、財布や鞄を探す必要もないという点です。また、有効期限が近づくと自動的にリマインド通知を送ることも可能で、使い忘れを防ぐ仕組みも整っています。

企業側にとっても、配信から利用まで一元管理できるメリットは大きく、リアルタイムで利用状況を把握できます。例えば、ある飲食チェーンでは週末限定クーポンを配信したところ、配信後1時間以内に予約が殺到し、通常の2倍以上の来店を記録したという事例もあります。

多くのユーザーが利用する高い訴求力

LINE公式アカウントから配信されるクーポンの利用率の高さは、データでも裏付けられています。冒頭にご紹介したとおり、企業のLINE公式アカウントから受け取ったクーポンを「利用したことがある」と答えたユーザーは58.3%に上ります。

さらに注目すべきは、友だち追加のきっかけとして「クーポンなどの特典」を挙げるユーザーがもっとも多いという点です。つまり、クーポンは既存顧客への販促だけでなく、新規顧客獲得の強力な武器にもなり得るのです。

普段は公式アカウントの登録に抵抗があるユーザーでも、魅力的なクーポンがあれば79%が登録に前向きになるというデータもあります。このような高い訴求力を持つLINEクーポンは、企業にとって見逃せないマーケティングツールといえるでしょう。

紙のクーポンとの違いとメリット

紙のクーポンとLINEクーポンの最大の違いは、コストと効果測定の精度にあります。紙のクーポンでは印刷費や配布費用で1回あたり数万円、年間では数十万円のコストがかかることも珍しくありません。

一方、LINEクーポンは画像さえ用意すれば無料で作成・配信が可能です。さらに、配信数、開封数、利用数といった詳細なデータをリアルタイムで確認できるため、施策の効果を正確に把握できます。

また、紙のクーポンでは難しかった「誰が」「いつ」「どのクーポンを」使用したかという情報も、LINEクーポンなら簡単に取得できます。このデータを活用することで、より精度の高いマーケティング施策の立案が可能になり、ROIの向上につながります。

クーポンの種類と作成方法｜目的に応じた使い分けのポイント

LINEクーポンを効果的に活用するためには、まず利用可能な種類を理解し、自社の目的に合わせて使い分けることが重要です。ここでは、3つのクーポンタイプの特徴と、作成時に押さえておきたいポイントについて解説します。

条件なし・抽選・友だち紹介の3タイプを理解する

LINE公式アカウントのクーポンには、大きく分けて3つのタイプがあります。もっとも一般的な「条件なし」クーポンは、友だち全員が取得できる標準的なクーポンです。新規友だち追加時の特典や、定期的な販促キャンペーンに適しています。

「抽選」クーポンは、1～99%の範囲で当選確率を設定できるゲーム性のあるクーポンです。当選した友だちだけが特典を受けられるため、特別感を演出できます。ただし、誰が当選したかは管理画面では確認できない点に注意が必要です。

「友だち紹介」クーポンは、既存の友だちが新しいユーザーを紹介すると、両者にクーポンが付与される仕組みです。口コミによる自然な拡散が期待でき、新規顧客獲得に効果的です。

クーポン作成時の必須設定項目と注意点

クーポン作成時には、いくつかの必須項目を設定する必要があります。まず重要なのが「クーポン名」で、60文字以内でユーザーに分かりやすい名称を付けます。「新規限定20%OFFクーポン」「雨の日限定ドリンク無料」など、特典内容がひと目で分かる名前が効果的です。

有効期間の設定も重要なポイントです。期間を短く設定すれば緊急性を演出できる一方、長すぎると利用を先延ばしにされる可能性があります。業種や商材に応じて、1週間から1カ月程度で設定するケースが多いようです。

また、「LINEサービスへの掲載」設定を「掲載する」にすると、認証済アカウントの場合はLINEクーポンなどの関連サービスにも表示され、友だち以外のユーザーにもリーチできます。新規顧客獲得を狙う場合は、積極的に活用したい機能です。

画像や利用ガイドで効果を最大化する方法

クーポンの効果を最大化するには、視覚的な訴求と分かりやすい説明が欠かせません。クーポン画像は10MB以下、推奨サイズは640×640ピクセルで設定できます。商品写真や店舗の雰囲気が伝わる画像を使用することで、クーポンの魅力を視覚的に訴求できます。

利用ガイドは500文字以内で設定可能で、「他クーポンとの併用不可」「○○店限定」といった利用条件を明記します。初期設定でテンプレートが用意されているため、必要に応じて編集するだけで済みます。

さらに効果的なのが、クーポンタイプの適切な選択です。「割引」「無料」「プレゼント」「キャッシュバック」「その他」から選べ、ユーザーに表示されます。例えば、新規顧客には「割引」、リピーター向けには「プレゼント」など、ターゲットに応じて使い分けることで、より高い反応率が期待できます。

配信チャネルを使いこなす！さまざまな配布方法と活用シーン

作成したクーポンを効果的に配布するには、複数の配信チャネルを理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。LINEクーポンにはいくつかの配信方法があり、それぞれに適した活用シーンがあります。

あいさつメッセージやリッチメニューでの常時訴求

新規友だち追加時に自動送信される「あいさつメッセージ」は、クーポン配布の定番手法です。友だち追加直後にすぐ使えるクーポンを提供することで、初回来店のハードルを下げる効果があります。このメッセージは配信数にカウントされないため、コストを気にせず活用できる点も魅力です。

「リッチメニュー」は、トーク画面下部に常時表示されるメニューで、クーポンへの導線として最適です。画面の目立つ位置に「今月のクーポン」「期間限定特典」といったボタンを設置することで、ユーザーがいつでもクーポンにアクセスできる環境を作れます。

常に目に入る位置を活用することで、クーポンの存在を忘れさせない工夫が可能です。

ステップ配信やリサーチ機能を活用した戦略的配信

「ステップ配信」は、友だち追加後の経過日数に応じて自動的にメッセージを送る機能です。例えば、初回購入から2週間後に「リピーター限定クーポン」を送信するなど、顧客のライフサイクルに合わせた配信が可能です。

「リサーチ機能」と組み合わせたクーポン配布も効果的です。アンケート回答のお礼としてクーポンを提供することで、回答率の向上と同時に顧客データの収集も実現できます。ある美容室では、施術満足度アンケートの回答特典として次回利用クーポンを配布し、リピート率を20%向上させました。

また、「応答メッセージ」機能を使えば、特定のキーワードを送信したユーザーにクーポンを自動配信できます。イベント会場で合言葉を伝え、LINEに送信してもらうことで限定クーポンを配布するなど、リアルとデジタルを融合させた施策も可能です。

LINE VOOMやSNSシェアで新規顧客にリーチ

「LINE VOOM」は、友だち以外のユーザーにも情報を届けられる機能です。クーポン付きの投稿を行うことで、まだ友だちになっていない潜在顧客にもアプローチできます。画像や動画でクーポンの魅力を訴求し、友だち追加へと誘導する流れが効果的です。

SNSシェア機能も見逃せません。作成したクーポンのURLをコピーして、TwitterやInstagramなどほかのSNSでシェアすることができます。シェアされたURLからクーポンページにアクセスすると、自動的に友だち追加も促されるため、新規顧客獲得の強力なツールとなります。

さらに、プロフィールページへのクーポン設置も可能です。最大3つまでボタンとして表示でき、「お得なクーポン」「今月の特典」といった形で常時アピールできます。複数のクーポンがある場合は、作成日が新しい順に2つまで自動表示される仕組みになっています。

▼下記のお役立ち資料では、LINE公式アカウントの機能の一つである「リッチメニュー」について、基本設定や応用機能から、具体的な活用事例までをわかりやすく紹介します。日々の運用で継続的に成果を上げるための実践的なヒントとして、ぜひご活用ください。

クーポンコードで広がる可能性｜実店舗からECまで幅広く対応

クーポンコード機能を活用することで、LINEクーポンの活用範囲は大きく広がります。実店舗での利用はもちろん、ECサイトや電話予約など、さまざまなビジネスシーンで効果を発揮します。

最大16文字のコード設定で管理を効率化

クーポンコードは最大16文字の英数字で自由に設定できます。例えば「SUMMER2024」「RAIN20OFF」など、キャンペーン内容が分かりやすいコードを設定することで、スタッフも顧客も混乱せずに利用できます。

複数のクーポンを同時展開する場合、コードで識別できることは運用上の大きなメリットです。「どのクーポンがどれだけ使われたか」を正確に把握でき、効果測定も容易になります。実際に、ある小売りチェーンではクーポンコードごとの利用データを分析し、もっとも効果的なキャンペーンパターンを発見しました。

また、クーポンコードには日本語も使用可能です。「夏祭り」「新規限定」といった分かりやすいコードを設定できますが、入力の手間を考慮すると、シンプルな英数字のほうが実用的でしょう。

ECサイトとの連携で実現するOMO施策

ECサイトを運営する企業にとって、LINEクーポンのコード機能は特に有効です。ECサイト側で割引コードを設定し、同じコードをLINEクーポンに記載して配布することで、シームレスな割引適用が可能になります。

例えば、ECサイトの決済画面にクーポンコード入力欄を設け、LINEで配布した「WELCOME10」というコードを入力すると10%割引が適用される仕組みです。この方法なら、LINE経由の売上を正確に把握でき、施策の効果測定も簡単に行えます。

さらに、LINEから直接商品ページへ誘導することも可能です。クーポンメッセージに商品URLを含めることで、ユーザーは割引情報を確認してすぐに購入ページへアクセスできます。このようなOMO（オンラインとオフラインの融合）施策は、顧客体験の向上と売上拡大の両立を実現します。

電話予約や非対面取引でも使える活用術

クーポンコードの利点は、画面提示が不要な点にもあります。電話予約の際にコードを伝えるだけで割引を適用できるため、非対面でのサービス提供にも対応できます。

例えば、美容室の電話予約で「LINEクーポンのBEAUTY20を見ました」と伝えるだけで、20%割引が適用される仕組みです。顧客は来店時にスマートフォンを探す必要がなく、スムーズにサービスを受けられます。

また、会員登録時の特典コードとしても活用できます。「LINE限定の特典コードを入力すると、初回購入が送料無料」といった施策は、友だち追加のインセンティブとしても機能します。このように、クーポンコードはさまざまなタッチポイントで顧客との接点をつくり、ビジネスチャンスを広げる可能性を秘めています。

まとめ｜今すぐ始められるLINEクーポン活用への第一歩

LINEクーポンは、無料で始められる上に効果測定まで一元管理できる優れた販促ツールです。高い利用率と、友だち追加の強力な動機付けとなることから、多くの企業が導入を進めています。

まずは友だち追加特典として簡単なクーポンを作成し、配信してみることから始めてみましょう。データを見ながら改善を重ねることで、自社に合った活用方法が見つかるはずです。

ただし、クーポン配信の効果を最大化するには、顧客データの分析やセグメント配信、ほかの施策との連携など、より高度な運用が求められます。このような場面では、LINEマーケティングに特化したツールを活用することで、作業効率を大幅に向上させることができます。

効果的なツールを選ぶことで、限られたリソースでも大きな成果を生み出すことが可能になるでしょう。LINEクーポンを起点に、ぜひ本格的なLINEマーケティングへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

▼株式会社エフ・コードでは、「hachidori」を提供しています。

hachidoriは、配信設定やタグ設計はもちろん、施策の提案・改善まで専任担当がサポートする
”成果直結型のLINEマーケティング支援ツール”です。

まずは機能や活用事例についてまとめた、サービス資料をダウンロードしてみてください。