CX(カスタマーエクスペリエンス)向上とは?顧客体験の重要性や取り組むメリットを解説

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客が商品やサービスを購入したり利用したりする際に感じる体験や感情のことです。CXの向上は、顧客満足度やロイヤルティ、口コミなどに大きく影響し、企業の収益や競争力にも直結する重要な要素となります。

しかし、CXを向上させるためには、顧客のニーズや期待を把握し、それに応えることができる仕組みや戦略が必要です。そのため、いくつかの手順とポイントを押さえた上で、CX向上施策に取り組む必要があります。

そこで今回は、CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させる施策について、顧客体験の重要性や取り組むメリットを解説します。自社のCXの向上に取り組む方はもちろん、CXの改善に興味のある方も、ぜひ参考にしてください。

目次
  1. CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?
    1. CXとUX(ユーザーエクスペリエンス)の違い
    2. CXとCS(カスタマーサティスファクション)の違い
  2. デジタルカスタマーエクスペリエンス(DCX)とは
  3. CXが重要視される背景
    1. 1.顧客ニーズの多様化と期待の高まり
    2. 2.顧客の声が拡散しやすくなっている
    3. 3.顧客との関係性が長期的になっている
  4. BtoCだけではなくBtoBでもカスタマーエクスペリエンス(CX)は重要
  5. CXを向上させるのための基本的な戦略と手順
    1. 顧客の現状分析
    2. 顧客ニーズ理解
    3. CXを実装する際のユーザーの課題特定
    4. 顧客の課題を解決しやすいCXの構築
  6. DCXの概念と重要性の高まり
    1. デジタルを活用する機会が増えてきたため
    2. 顧客のニーズや期待が多様化してきたため
    3. デジタル上での差別化が難しくなってきたため
    4. デジタル上での社会課題に対応する必要があるため
  7. カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させるための3つのコツ・アプローチ
  8. CXを向上させる具体的な方法
  9. CXを向上させるメリット5つ
    1. 1.ロイヤルカスタマーやリピーターを獲得できる
    2. 2.ブランドイメージの向上につながる
    3. 3.口コミによる宣伝効果に期待できる
    4. 4. 顧客離れを防止できる
    5. 5. 競合との差別化につながる
  10. CXを向上させるためのステップ4つ
    1. 1.カスタマージャーニーマップを描く
    2. 2.各顧客接点における課題を可視化する
    3. 3.課題をクリアするための仮説・検証・改善を繰り返す
    4. 4.CXの効果測定と改善サイクルを確立する
  11. CX向上に取り組むポイント
    1. 顧客にとって重要な体験は何かを見極める
    2. 組織全体でCX改善に取り組む
    3. 中長期的な視点で改善し続ける
  12. CXを向上させるためのツールやサービスの事例
    1. コールセンター
    2. ビデオ通話ツール
    3. NPS(ネット・プロモーター・スコア)
    4. ソーシャルリスニング
    5. Web接客ツール
  13. CX向上施策の成功事例3つ
    1. スターバックスの事例
    2. オリエンタルランドの事例
    3. 星野リゾートの事例
  14. CX向上のまとめ

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客が商品やサービスを購入したり利用したりする際に感じる体験や感情のことです。CXは、顧客満足度やロイヤルティ、口コミなどに大きく影響し、企業の収益や競争力にも直結する重要な要素です。

CXは、企業がマーケティング戦略を考える際の方向性を決める要素の一つとして、重要な役割を果たします。

CXとUX(ユーザーエクスペリエンス)の違い

CXと混同しやすい言葉に、UX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉があります。

UXとは、日本語で「ユーザー体験」と訳され、個々の体験のことを指す言葉です。CXは商品やサービスを利用する上で受けた体験全体のことを指します。

UXは「商品購入前」「購入時」「購入後」など複数の体験が生じる一方で、CXは「購買プロセス全体の体験」であることが特徴です。

つまり、CXはUXが積み重なったものと考えるといいでしょう。

CXとCS(カスタマーサティスファクション)の違い

CSとは「Customer Satisfaction」の略称で、商品やサービスを購入・利用した際の「顧客満足度」を定量的に測る指標のことを指します。

CXが商品・サービスを含む一連の体験であるのに対して、CSは商品・サービスそのものの満足度となります。

CSでは、商品の価格や機能の豊富さ、サポート体制など、各体験の満足度が対象です。CXの場合は、サービス認知から購入・利用に至るまで、すべての接点で提供される体験が対象となります。

各体験の顧客満足度を高めれば、CXの向上にもつながるため、どちらも重要な指標と言えるでしょう。

デジタルカスタマーエクスペリエンス(DCX)とは

デジタルカスタマーエクスペリエンス(DCX)とは、顧客がデジタルチャネルやツールを通じて企業やブランドと交流する際の体験全体を指します。これは、ウェブサイト、モバイルアプリ、ソーシャルメディアなどのデジタルプラットフォームでの顧客の経験を含みます。

DCXの重要性は、デジタル技術の進化と普及に伴い、顧客の購買行動や情報収集方法が大きく変化していることから高まっています。現代のビジネス環境では、オンラインショッピングや情報収集が主流となり、企業と顧客との接点はデジタル空間に大きくシフトしています。このため、デジタル上での経験の質が顧客満足度やブランドイメージに直結するようになっています。

さらに、DCXは顧客のニーズや期待が多様化する中で、その期待に応えるためには常に最新のデジタルトレンドを取り入れたCX(カスタマーエクスペリエンス)の提供が求められます。これにより、企業は顧客ロイヤルティを高めることができ、競合サービスの差別化を図る施策としては不可欠な要素となっています。

CXが重要視される背景

CXが重要視される理由として、近年のビジネスシーンの変化が挙げられます。以下では、CXが重要視されるようになった背景や理由について、次の3つのポイントで解説します。

1.顧客ニーズの多様化と期待の高まり

現代のビジネスでは、顧客が、ただ単に商品やサービスの品質や価格だけでなく、それらを通じて得られる価値や満足感を求めるようになりました。また、顧客は自分の好みやライフスタイルに合わせたカスタマイズやパーソナライゼーションを望んでいます。

そのため、企業が商品やサービスの開発や提供する際には、顧客体験を重視した施策が重要です。

2.顧客の声が拡散しやすくなっている

近年は、SNSやレビューサイトなどのインターネット上で、顧客が自分の体験や感想を簡単に共有することができるようになりました。

これにより、顧客の声は他の潜在的な顧客にも影響を与えるようになっています。ただし、良い評判とは逆に悪い体験や不満が拡散されると、企業の評判や信頼性が低下するリスクがあります。

そのため、企業においては、常にCXを意識した取り組みを行うことが重要です。

3.顧客との関係性が長期的になっている

近年は、サブスクリプションモデルやメンバーシップ制などのビジネスモデルが普及しており、顧客との関係性が一回限りではなく、継続的かつ長期的になっています。

これにより、顧客が企業とのエンゲージメントやコミットメントを高める傾向にあります。また、企業は顧客との良好な関係性を維持・強化するために、CXを向上させることが重要です。

以上のように、CXは現代のビジネスにおいて欠かせない要素です。CXを向上させることで、顧客との強固な絆を築き、ビジネスの成長につなげることができるでしょう。

BtoCだけではなくBtoBでもカスタマーエクスペリエンス(CX)は重要

CXはBtoCビジネスにおいて重要視される傾向が強いですが、日はBtoBビジネスにおいてもカスタマーエクスペリエンス(CX)は非常に重要です。

BtoB取引は通常、大規模で長期的な関係を伴い、複数の意思決定者が関与するため、優れたCXの提供が信頼関係の構築と維持に不可欠と言えるでしょう。

高品質なCXは、顧客維持率の向上、顧客生涯価値の最大化、そして競争優位性の確立に直接的に寄与します。特に、サブスクリプションモデルを採用している企業にとっては、継続的な顧客満足度の向上が事業の成功に直結します。

BtoBのCXは、個別のニーズに応じたカスタマイズされたソリューションの提供や、複雑で戦略的なアプローチを必要とすることが特徴です。これは単なる製品やサービスの提供を超えた、包括的な顧客体験の設計と実行を意味します。

しかし、多くのBtoB企業ではCXの重要性は認識されているものの、実際の取り組みはまだ初期段階にあります。この現状は、CXに積極的に投資する企業にとっては大きな機会を示唆していると言えるでしょう。

CXを向上させるのための基本的な戦略と手順

CX向上のための基本戦略には、顧客の体験を深く理解し、それを改善するための一連の取り組みが含まれます。

CXを向上させるための基本的な戦略と手順は以下の通りです。あくまで一例となりますがしっかりと改善を行うことで徐々に成果につながっていくでしょう。

顧客の現状分析

まず、企業は自社のサービスや製品を通じて、顧客にどのような体験を提供しているのかを把握することが必要です。これには、顧客からのフィードバックの収集や、顧客サービスの評価などが含まれます。

顧客ニーズ理解

顧客のニーズを理解することは、製品やサービスの提供において最も基本的かつ重要な要素です。顧客が何を求めているのか、どのような問題を解決したいのかを把握することで、より的確な顧客データを得ることが可能です。これには市場調査やフィードバック収集が役立つでしょう。

CXを実装する際のユーザーの課題特定

まず、企業は自社のサービスや製品を通じて、顧客にどのような体験を提供しているのかを把握することが必要です。これには、顧客からのフィードバックの収集や、顧客サービスの評価などが含まれます。

次に、収集したデータを分析し、顧客体験の改善点を見つけ出します。これは、顧客の不満や要望を明らかにし、それらを解決するための具体的なアクションプランを立てることです。そして、そのアクションプランを実行し、その結果を評価することで、さらなる改善点を見つけ出し、継続的な改善を図っていきます。

顧客の課題を解決しやすいCXの構築

このプロセスは、顧客中心のアプローチを取り、顧客の声をビジネスの意思決定に反映させることで、顧客満足度の向上とビジネス成果の向上を両立させることを目指しています。CX向上は単なる一時的な取り組みではなく、企業文化として根付かせることが重要です。それにより、顧客ロイヤルティの向上や、口コミによる新規顧客の獲得など、長期的なビジネス価値を創出することが可能となります。

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DCXの概念と重要性の高まり

DCXとは、デジタルカスタマーエクスペリエンスの略で、顧客がデジタル上で製品やサービスを利用する際に得られる体験のことです。DCXは、CX(カスタマーエクスペリエンス)の一部であり、UX(ユーザーエクスペリエンス)を全て足したものと言えます。

DCXの重要性が高まっている理由は、以下のようなものが挙げられます。

・デジタルを活用する機会が増えてきたため
・顧客のニーズや期待が多様化してきたため
・デジタル上での差別化が難しくなってきたため
・デジタル上での社会課題に対応する必要があるため

それぞれ解説します。

デジタルを活用する機会が増えてきたため

インターネットの普及やスマートフォンの発展により、顧客がデジタル上で製品やサービスを購入したり、情報を収集したり、口コミを交換したりすることが多くなっています。

また、コロナ禍においては、オンラインでの販売や教育、医療などのサービスが急速に拡大しました。

このように、デジタル上での顧客体験が増えることで、DCXの向上がCXの向上に直結するようになっているのです。

顧客のニーズや期待が多様化してきたため

顧客は、デジタル上での体験に対しても、高い品質や利便性、安全性、快適性などを求めるようになりました。

また、自分に合った製品やサービスを選択したり、カスタマイズしたり、ブランドとのコミュニケーションを取ったりすることも望むようにもなっています。

このように、顧客のニーズや期待が多様化することで、DCXの向上が顧客満足度やロイヤルティの向上につながるようになっているのです。

デジタル上での差別化が難しくなってきたため

近年は、インターネットの急速な普及により、デジタル上での競争が激化しています。そのため、顧客が容易に他の製品やサービスに切り替えることができるようになりました。

また、デジタル上では、製品やサービスの特徴や価値を伝えることが難しいことも、差別化が難しい要因の1つです。

このように、デジタル上での差別化が難しくなることで、DCXの向上がブランドの魅力や信頼性の向上に必要となっているのです。

デジタル上での社会課題に対応する必要があるため

デジタル上でのビジネスは、環境や倫理などの社会課題にも影響を与えます。

例えば、デジタル上での販売や配送によるCO2排出量の増加や、個人情報の漏洩や不正利用などのリスクがあります。

このように、デジタル上での社会課題に対応することで、DCXの向上が企業の社会的責任や信頼性の向上に寄与するのです。

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カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させるための3つのコツ・アプローチ

カスタマーエクスペリエンス(CX)向上のためのアプローチは、大きく「感情的訴求」「感覚的訴求」「個人的関心訴求」の3つに分類できます。

感情的訴求は、丁寧なサービスや楽しいコミュニケーションなど、顧客の心理面に働きかけるアプローチです。感覚的訴求は、店舗やウェブサイトのデザイン、使いやすさなど、五感を通じて顧客に訴えかけます。

個人的関心訴求は、顧客の購買履歴やSNS投稿などのデータを分析し、個々の興味や嗜好に合わせたアプローチを行います。

これらのアプローチは単独で実施するよりも、複合的に組み合わせることで効果を発揮します。例えば、ウェブサイトの閲覧数は多いがコンバージョン率が低い場合、ランディングページから決済までの顧客体験を、これら3つの観点から総合的に見直すことが重要です。

効果的なCX戦略を実現するためには、顧客に関する詳細なデータの収集と分析が不可欠です。つまり、CXの向上はデータドリブンなアプローチを基盤として初めて可能となります。

顧客データを活用し、感情、感覚、個人的関心という多面的な視点から顧客体験を設計することで、より魅力的で効果的なCXを提供することができるのです。

さらに、これらのアプローチを効果的に実施するには、顧客のジャーニーマップを作成し、各接点でどのような体験を提供するかを綿密に計画することが重要です。例えば、商品の認知段階では感覚的訴求を重視し、興味喚起の段階では個人的関心訴求を強化し、購入決定の段階では感情的訴求を中心に据えるといった具合です。

また、CXの向上は一度きりの取り組みではなく、継続的な改善プロセスが必要です。顧客のフィードバックを常に収集し、それに基づいて体験を微調整していくことが重要です。さらに、テクノロジーの進化や社会トレンドの変化にも敏感に対応し、新しい体験の可能性を常に探求することも忘れてはいけません。

最後に、CXの向上は単に顧客満足度を高めるだけでなく、ブランドロイヤルティの構築、顧客生涯価値の向上、そして口コミによる新規顧客の獲得にもつながります。したがって、CXへの投資は長期的な企業成長戦略の重要な一部として位置づけられるべきだと言えるでしょう。

では、具体的にどのようにCXを向上させていくべきなのかを次の項で確認していきましょう。

CXを向上させる具体的な方法

顧客体験を向上させるためには、顧客が商品やサービスに接するすべての接点での体験を総合的に考え、それぞれの接点での体験を改善することが重要です。

具体的な方法としては、まず自社が提供する価値や顧客にとってのメリットを明確にし、それに基づいて顧客とのコミュニケーション方法を整理します。次に、カスタマージャーニーを設計し、顧客が商品やサービスに接する一連の流れを理解し、その中で顧客が感じるであろう体験をデザインします。

実際に顧客体験を向上させるためには、顧客からのフィードバックを受け入れ、それをもとに改善策を実践することが不可欠です。顧客の行動データを集めて記録し、顧客がどのような流れで動いているのかを俯瞰することで、顧客のニーズや問題点を把握し、それに応じた改善策を講じることができます。また、顧客体験の主語は「顧客」であるため、自社都合や独りよがりな体験提供をしていないかを客観的に俯瞰してみることも大切です。

これらの取り組みを通じて、顧客が商品やサービスに接するすべての接点での体験を向上させることができれば、顧客満足度の向上やロイヤリティの向上、さらには新規顧客の獲得にもつながるでしょう。顧客体験を向上させることは、単に顧客に喜んでもらうためだけではなく、企業の持続的な成長にも寄与する重要な取り組みです。

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CXを向上させるメリット5つ

CXを向上させるメリットは、主に以下が挙げられます。

1.ロイヤルカスタマーやリピーターを獲得できる
2.ブランドイメージの向上につながる
3.口コミによる宣伝効果に期待できる
4. 顧客離れを防止できる
5. 競合との差別化につながる

それぞれのメリットについて順に見ていきましょう。

1.ロイヤルカスタマーやリピーターを獲得できる

ロイヤルカスタマーとは、売上貢献が高いことに加えて、企業やブランドに信頼を寄せてくれている優良な顧客のことです。CXを向上させることで、顧客の満足度や忠誠度を高めてロイヤルカスタマーを育成し、リピート購入や長期的な関係性を築くことが可能です。

これにより、顧客のライフタイムバリュー(LTV)を高めることができます。LTVとは、顧客が企業にもたらす収益の総額です。LTVが高いほど、企業の収益性や競争力が高まります。

例えば、ファッションECサイトのSTRIPE CLUBでは、実店舗とECサイトの両方で購入している顧客は、実店舗のみで購入している顧客に比べてLTVが約4倍も高いことが判明しました。これは、オンライン・オフラインを意識しないCXにより、快適な購買体験を提供しているからだと考えられます。

2.ブランドイメージの向上につながる

CXを向上させることで、顧客に対して企業や商品の価値や魅力を伝えることができます。これにより、顧客のブランド認知度や好感度を高めることが可能です。ブランドイメージが高いほど、顧客の信頼性や選択肢になりやすくなります。

例えば、Starbucks Coffeeでは、店舗に「サードプレイス(家でも職場でもない第3の場所)」という位置付けを行い、そのコンセプトに沿ったCXを提供。インテリアやBGM、スタッフの雰囲気なども全てに一貫性があり、落ち着く店内を演出することでCXを高めることに成功しました。また「コーヒーが美味しい」や「職場に近い」といった機能的な価値だけでなく、情緒的な価値づくりにも取り組んでいます。これにより、Starbucks Coffeeは世界的なブランドイメージを築くことに成功しました。

3.口コミによる宣伝効果に期待できる

CXを向上させることで、顧客に対して感動や驚きを与えることができます。

近年は、顧客が自分の体験や感想をSNSやレビューサイトなどのインターネット上で共有することができますが、これは口コミと呼ばれる有力な宣伝手段の1つです。口コミは、他の潜在的な顧客にも影響を与える可能性があり、口コミの内容が良ければ、新規顧客の獲得や既存顧客の囲い込みにつながります。

例えば、ザ・リッツカールトンホテルでは従業員に1日2,000ドル(1ドル=170円で340,000円)という高額な決裁権を与え、従業員が「お客様のために」と思えば、通常では信じられないサービスを提供できるようにしています。このようなサービスが口コミとして広まり、ザ・リッツカールトンホテルのCXに関する逸話は数えきれないほどとなっています。これにより、ザ・リッツカールトンホテルは、世界の高級ホテルの代名詞となりました。

4. 顧客離れを防止できる

CXを向上させることで、顧客離れの防止につながるのもメリットです。

商品やサービスの品質が低下したり、ユーザーの満足度やロイヤリティが下がれば、ユーザー離れに直結します。こうした事態を避けるためにも、CX向上は欠かせません。

CX向上によって信頼性やロイヤリティを高めることで、顧客の定着率が高まると言えるでしょう。

5. 競合との差別化につながる

CX向上によって、競合との差別化につながることもメリットのひとつです。

CX向上を通じて自社商品やサービスのブランディング効果が高まるため、他社商品やサービスとの差別化を図ることができます。

インターネットが普及し、顧客自身が情報収集を行い、商品やサービスを自ら比較する現在には、競合他社との差別化を意識することも不可欠です。

CXを向上させるためのステップ4つ

CXを向上させるためには、次の4つのステップを踏むのが効果的です。

1.カスタマージャーニーマップを描く

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスに関わる一連のプロセスや行動の流れを図式化したものです。

カスタマージャーニーマップを描くことで、顧客がどのような目的やニーズを持ち、どのような経路やチャネルを通じて企業と接触し、どのような体験や感情を抱くかを理解することができます。

カスタマージャーニーマップを描く際は、以下のような手順で行うのが一般的です。

①顧客セグメントを定義する

まずは、顧客の属性や特徴、ニーズや期待、購買行動などに基づいて、顧客のグループ分けを行います。

②タッチポイント(接点)を特定する

次に、顧客が商品やサービスに関わるすべての接点(ウェブサイト、店舗、電話、メールなど)を洗い出します。

③カスタマージャーニーをマッピングする

タッチポイントを特定したら、顧客が接点に触れる順序や時間軸を示すマップ(図表)を作成します。

④顧客の体験や感情を評価する

最後に、各接点で顧客が感じる体験や感情(満足・不満・期待・不安など)を評価します。

2.各顧客接点における課題を可視化する

カスタマージャーニーを描いた後、各接点で顧客が抱える課題や問題点を可視化することが重要です。

課題や問題点には、以下のようなものがあります。

  • 顧客のニーズや期待に応えられていないこと
  • 顧客が混乱や不安を感じること
  • 顧客が不満や苦情を抱くこと
  • 顧客が離脱や流失すること

また、課題や問題点を可視化するためには、顧客アンケートやインタビューなどで直接的にフィードバックを収集したり、ウェブアナリティクスツールやヒートマップツールなどで間接的に行動データを収集する方法があります。もし、上記のような具体的なデータを得にくい場合には、ペルソナやエンパシーマップなどで、仮想的な感情データを収集するのも効果的です。

3.課題をクリアするための仮説・検証・改善を繰り返す

課題や問題点を可視化した後は、それらをクリアするために、以下のような仮説・検証・改善のサイクルを繰り返すことが必要です。

仮説では、課題や問題点の原因と解決策についての仮説を立てます。次に、検証では、仮説に基づいた実験やテストを行い、その結果を分析します。最後に、検証の結果に基づき、接点やプロセスの改善を行うことが重要です。

この仮説・検証・改善のサイクルを繰り返すことで、顧客のニーズや期待に応えることができるCXを作り上げることができます。

また、仮説・検証・改善のサイクルを繰り返すためには、A/Bテストやマルチバリアントテストなどでウェブサイトやアプリのデザインやコンテンツを最適化したり、プロトタイピングやユーザビリティテストなどで新しい商品やサービスの機能や操作性を評価するのが効果的です。

4.CXの効果測定と改善サイクルを確立する

CXを向上させるためには、CXの効果測定と改善サイクルの確立が欠かせません。

CXの効果測定とは、CXが企業の収益や競争力にどのように貢献しているかを定量的に評価することです。CXの効果測定を行うことで、CX向上の優先順位やROI(投資対効果)を明確にすることができます。

CXの効果測定を行うためには、以下のような指標があります。

顧客満足度(CSAT)

顧客満足度(CSAT)とは、顧客が商品やサービスに対してどれだけ満足しているかを測る指標です。

顧客忠誠度(CLV)

顧客忠誠度(CLV)とは、顧客が企業に対してどれだけ忠誠的であるかを測る指標です。

ネットプロモータースコア(NPS)

ネットプロモータースコア(NPS)とは、顧客が商品やサービスを他人に推奨する確率を測る指標を指します。

顧客エフォートスコア(CES)

顧客エフォートスコア(CES)とは、顧客が商品やサービスを利用する際にどれだけ労力を感じたかを測る指標です。

一方、CXの改善サイクルとは、CXの効果測定の結果に基づいて、CX向上の施策や目標を定期的に見直し、改善していくプロセスです。CXの改善サイクルを確立することで、CX向上への取り組みを持続的かつ効果的に行うことができます。

CXの改善サイクルを確立するためには、以下のような方法があります。

  • CXダッシュボードやレポートなどでCXの効果測定の結果を可視化し、共有する
  • CX戦略やKPIなどでCX向上の施策や目標を明確にし、管理する
  • CXチームやCXオフィサーなどでCX向上への責任者や担当者を設定し、推進する

▼下記の資料では、CXの向上に直結する、UX/UI改善のプロセスや実施ポイントをわかりやすく解説しています。

・UX/UIを改善するプロセス
・UX改善を成功させるポイント
・UX/UI改善の成功事例

デジタルマーケティングにおける顧客体験がますます重要性を増している今、UX/UI改善の改善が必要不可欠です。

もし「UX改善の具体的なプロセスが分からない」や「考え方や改善のポイントを詳しく知りたい」とお考えの方は、ぜひ下記の資料をダウンロードして、自社サイトの改善にお役立てください。

CX向上に取り組むポイント

CX向上に取り組む際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • 顧客にとって重要な体験は何かを見極める
  • 組織全体でCX改善に取り組む
  • 中長期的な視点で改善し続ける

ここでは、それぞれのポイントについて順に解説します。

顧客にとって重要な体験は何かを見極める

CXを向上させるには、顧客にとって重要な体験はどんなものかを見極めることが大切です。どのような体験を提供すればよいかは、どのような商品・サービスを提供しているかによって大きく異なります。

たとえば、ファストファッションの場合は、商品の安さや店舗の立地、気軽に来店しやすいことが求められる一方で、ハイブランドの場合は、接客対応や外観、内装のデザイン、商品の知識、ホスピタリティなどが重視されるでしょう。

そのため、顧客体験を改善する前に、「顧客にとって需要な体験とは何か」を仮説立てることが大切です。

組織全体でCX改善に取り組む

より良い商品・サービスを提供し、顧客満足度を高めるためには、組織全体でCXを進めることが非常に重要です。

CX改善の重要性について、現場の理解や納得感を得られるように動くといいでしょう。

CX調査についての結果をポジティブな声含めてフィードバックしたり、現場の評価を明確にしたりすることがポイントです。

そうすれば、自身の仕事が顧客の評価につながっていることが分かるため、従業員のモチベーション向上につながり、CX改善を円滑に進めやすくなるでしょう。

中長期的な視点で改善し続ける

CX改善のための施策は、短期間では効果が現れません。そのため、中長期的な視点でCX施策を捉えて、長期にわたって改善を続けることが重要です。

また、市場や業界のトレンドは変化し続けるもの。常に顧客のニーズや市場にアンテナを貼り、自社の商品やサービスに反映する必要があります。

CX向上を中長期的に行うためにも、CRMやWeb接客ツールなどの各種ツールを活用し、より円滑にCXに取り組むこともおすすめです。

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CXを向上させるためのツールやサービスの事例

コールセンター

コールセンターは、顧客と直接やりとりする重要な接点であり、CX(カスタマーエクスペリエンス)を高めるための対策を行う部門です。

コールセンターでは、顧客の問い合わせやクレームに対応するだけでなく、顧客の声を収集・分析し、顧客ニーズに応える商品やサービスを提供することができます。

ビデオ通話ツール

ビデオ通話ツールとは、オンラインで顔を見ながらコミュニケーションができるアプリのことです。このビデオ通話ツールも、CXを向上させるための手段の一つとして利用できます。

ビデオ通話ツールでは、顧客との関係性を深めることや、商品やサービスの説明やデモンストレーションを行うことができます。

NPS(ネット・プロモーター・スコア)

NSPとは、顧客の推奨意向を測る指標です。NPSは、顧客に「この商品やサービスを友人や知人に勧めたいと思いますか?」という質問をし、その回答を10点満点で評価することで算出されます。

NPSは、CXの評価や改善に役立つ指標として広く利用されています。

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングとは、SNSなどのソーシャルメディア上での顧客の声を収集・分析することです。ソーシャルリスニングでは、顧客が商品やサービスに対してどのような感想や評価をしているか、どのような要望や不満があるかなどを知ることができます。

ソーシャルリスニングは、CXに関する顧客のインサイトを得るための有効な手法の1つです。

Web接客ツール

Web接客ツールを導入することで、Webサイトを訪れたユーザーに対して最適なアプローチが行えるようになります。

チャットボットやポップアップウィンドウなどを活用し、Webサイト内のユーザー一人ひとりへの接客を最適化することが可能です。
多様化するユーザーのニーズに答えやすくなるため、CX向上はもちろん、WebサイトにおけるCVR向上やROI向上などの効果も見込めるでしょう。

▼下記の資料では、Web接客ツールの導入ポイントや、さまざまな業種の成功事例をわかりやすく解説しています。

自社サイトを運用するにあたって、Web接客ツールの導入を検討しているものの「具体的な成果がイメージしづらい」とお感じの方は、ぜひダウンロードしていただき、自社サイトを改善する際の参考にしてください。

CX向上施策の成功事例3つ

スターバックスの事例

スターバックスは、コーヒーだけでなく、店舗の雰囲気や接客、会員制度などを通して、顧客に快適で楽しい体験を提供しています。

スターバックスの取り組みは、顧客のニーズや嗜好を把握し、パーソナライズされたサービスやオファーを行うことで、顧客ロイヤルティを高めることに成功した事例です。

オリエンタルランドの事例

オリエンタルランドは、東京ディズニーリゾートの運営会社です。オリエンタルランドでは、顧客に夢と魔法の世界を体験させることを目指し、アトラクションやショー、レストラン、ホテルなどのサービスを提供しています。

オリエンタルランドの取り組みは、顧客の感動や満足を測るために、定期的にアンケートやインタビューを実施し、フィードバックをもとに改善策を講じることで、CXの向上に成功しています。

星野リゾートの事例

星野リゾートは、日本各地にある高級旅館やホテルの運営会社です。星野リゾートは、顧客に忘れられない旅の体験を提供することをモットーとし、宿泊施設や食事、アクティビティなどのサービスを提供しています。

星野リゾートの取り組みでは、顧客の感性や感情に訴えることで、感動や驚きを生み出すことに成功した事例です。

CX向上のまとめ

このように、CXの向上は、事業の安定と成長に大きな影響を与える重要な要素です。

特に近年のビジネススタイルでは、企業と顧客との長期的な関係の構築が重要視されているため、CXの向上を無視することはできません。

そこでこの記事を参考にして、自社のCX向上や改善のヒントにしていただければ幸いです。

▼下記からは、デジタルマーケティング戦略、集客、接客、営業などの全方向からDX実現をサポートするさまざまな資料をダウンロードできます。

・Webサイトからの離脱率の改善
・Web接客におけるシナリオ設計
・Web接客ツールの効果的な施策
・UX/UI改善プロセスや実施のポイント

上記のような課題がある方は、ぜひ参考資料としてご活用ください。

目次
  1. CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?
    1. CXとUX(ユーザーエクスペリエンス)の違い
    2. CXとCS(カスタマーサティスファクション)の違い
  2. デジタルカスタマーエクスペリエンス(DCX)とは
  3. CXが重要視される背景
    1. 1.顧客ニーズの多様化と期待の高まり
    2. 2.顧客の声が拡散しやすくなっている
    3. 3.顧客との関係性が長期的になっている
  4. BtoCだけではなくBtoBでもカスタマーエクスペリエンス(CX)は重要
  5. CXを向上させるのための基本的な戦略と手順
    1. 顧客の現状分析
    2. 顧客ニーズ理解
    3. CXを実装する際のユーザーの課題特定
    4. 顧客の課題を解決しやすいCXの構築
  6. DCXの概念と重要性の高まり
    1. デジタルを活用する機会が増えてきたため
    2. 顧客のニーズや期待が多様化してきたため
    3. デジタル上での差別化が難しくなってきたため
    4. デジタル上での社会課題に対応する必要があるため
  7. カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させるための3つのコツ・アプローチ
  8. CXを向上させる具体的な方法
  9. CXを向上させるメリット5つ
    1. 1.ロイヤルカスタマーやリピーターを獲得できる
    2. 2.ブランドイメージの向上につながる
    3. 3.口コミによる宣伝効果に期待できる
    4. 4. 顧客離れを防止できる
    5. 5. 競合との差別化につながる
  10. CXを向上させるためのステップ4つ
    1. 1.カスタマージャーニーマップを描く
    2. 2.各顧客接点における課題を可視化する
    3. 3.課題をクリアするための仮説・検証・改善を繰り返す
    4. 4.CXの効果測定と改善サイクルを確立する
  11. CX向上に取り組むポイント
    1. 顧客にとって重要な体験は何かを見極める
    2. 組織全体でCX改善に取り組む
    3. 中長期的な視点で改善し続ける
  12. CXを向上させるためのツールやサービスの事例
    1. コールセンター
    2. ビデオ通話ツール
    3. NPS(ネット・プロモーター・スコア)
    4. ソーシャルリスニング
    5. Web接客ツール
  13. CX向上施策の成功事例3つ
    1. スターバックスの事例
    2. オリエンタルランドの事例
    3. 星野リゾートの事例
  14. CX向上のまとめ
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