Marketing Glossary DX・マーケティング用語集
Re-skilling(リスキリング)
リスキリングとは?
Re-skilling(リスキリング)とは、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するため、今後新たに発生する業務で必要となるスキルや知識を習得することです。経済産業省では「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています。
リスキリングとリカレント教育の違い
リスキリングは、しばしば「リカレント教育」と混同されますが、その目的や主体に違いがあります。
| リスキリング | リカレント教育 | |
| 目的 | DX推進など企業の事業戦略のため、新しいスキルを習得する | 個人のキャリアのため、生涯にわたり教育と就労を繰り返す |
| 主体 | 主に企業(企業が主導し、従業員に学びの機会を提供する) | 主に個人(個人が主体的に、必要に応じて教育機関などに戻る) |
| 学ぶ内容 | 今後必要になる新しい業務のスキル(データ分析、AI活用など) | 自身が学びたい専門分野(内容は問わない) |
| 就労との関係 | 就労を継続しながら学ぶことが一般的 | 一度離職して大学などで学び直すことも含まれる |
簡単に言えば、リスキリングは「変化に適応し、これからも企業で価値を発揮し続けるための学び」、リカレント教育は「個人がキャリアを豊かにするために生涯にわたり繰り返す学び」というニュアンスの違いがあります。
リスキリングが注目される背景
近年、リスキリングが強く注目される背景には、以下の3つの社会変化があります。
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
多くの企業がAIやIoTなどのデジタル技術を活用した事業変革を進めており、既存業務の消滅や変化が予測されています。それに伴い、従業員には新しいデジタルスキルが求められています。 - 技術革新によるスキルの陳腐化
技術の進化スピードが速まり、かつて習得したスキルが通用しなくなる「スキルの陳腐化」が起きています。継続的な学びが不可欠な時代になりました。 - 人生100年時代と雇用の変化
終身雇用が当たり前ではなくなり、個人が自律的にキャリアを築く必要性が高まっています。変化に対応できるスキルを持つことが、個人の市場価値を高める上で重要です。
リスキリングのメリット
<個人側のメリット>
- 市場価値の向上:需要の高いスキルを身につけることで、社内での評価やより良い条件での転職につながります。
- キャリアの選択肢拡大:新しいスキルによって、これまでとは異なる職種や業界への挑戦が可能になります。
- 業務効率化と生産性向上:デジタルツールなどを使いこなすことで、自身の業務を効率化できます。
<企業側のメリット>
- DXや事業変革の推進:従業員が新しいスキルを習得することで、企業全体のデジタル対応力が高まり、DXを推進できます。
- 生産性の向上:業務が効率化され、組織全体の生産性向上につながります。
- 人材の確保と定着:社内で人材を育成することで、外部から採用するコストを削減できます。また、学びの機会を提供することは従業員エンゲージメントの向上にも寄与します。
リスキリングのデメリットと課題
- 学習時間の確保:個人は、現在の業務と並行して学習時間を確保する必要があります。企業側は、学習時間を業務として認めるなどの配慮が求められます。
- コストの発生:研修プログラムの導入や受講料など、企業・個人ともに費用的な負担が発生します。
- モチベーションの維持:リスキリングは短期で終わるものではないため、学習を継続するためのモチベーション維持が課題となります。
リスキリングで学ぶべきスキルの例
リスキリングで習得すべきスキルは業種や職種によって異なりますが、特に需要が高い分野として以下が挙げられます。
- データサイエンス・AI:データの収集・分析、AIを活用した業務改善スキル
- プログラミング:Webサイトやアプリケーションの開発スキル
- デジタルマーケティング:Web広告、SEO、SNS運用などの知識・スキル
- UI/UXデザイン:ユーザーにとって使いやすいサービスを設計するスキル
- クラウド技術:AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスを扱うスキル
国の支援制度について
政府も企業のリスキリングを後押しするため、様々な支援制度や補助金を用意しています。
- 人材開発支援助成金(厚生労働省)
- DXリスキリング助成金(東京都産業労働局) ※自治体の例
これらの制度は内容が変更される可能性があるため、利用を検討する際は、必ず各省庁や自治体の公式サイトで最新の情報を確認してください。
まとめ
リスキリングは、急速に変化する現代社会において、企業と個人が共に成長し続けるために不可欠な取り組みです。それは単なる「学び直し」ではなく、未来の価値創造に向けた戦略的な投資と言えます。まずは自身の業務や会社の未来を見据え、「これからどのようなスキルが必要になるか」を考えることから始めてみてはいかがでしょうか。