Marketing Glossary DX・マーケティング用語集
Text Mining(テキストマイニング)
テキストマイニングとは?
Text Mining(テキストマイニング)とは、アンケートの自由回答やSNSの投稿、コールセンターの応対記録といった、定型化されていない大量のテキストデータ(非構造化データ)を分析し、そこから有益な情報や知見を発見するための技術です。「マイニング(Mining)」は「採掘」を意味します。
テキストマイニングでできること(活用事例)
テキストマイニングは、顧客の本音(VOC:Voice of Customer)や社内に埋もれた貴重な情報を可視化するために、様々なビジネスシーンで活用されています。
- アンケートの自由回答の分析
「その他」の欄や自由記述の回答を集計・分析し、顧客満足度の低下要因や商品改善のヒントを発見する。 - SNS・口コミサイトの分析
自社製品やサービスに関するSNS上の評判を分析し、プロモーション施策の効果測定や、顧客が価値を感じているポイント(強み)を把握する。 - コールセンターの問い合わせ記録の分析
顧客からの問い合わせ内容やオペレーターの応対記録を分析し、FAQの改善、クレームの傾向把握、応対品質の向上につなげる。
テキストマイニングの主な手法と流れ
テキストマイニングは、一般的に以下の流れで行われます。
- データ収集:分析対象となるテキストデータを集めます。
- 前処理(データクレンジング):収集したデータを分析に適した形に整えます。ここで「形態素解析」という技術が使われます。
- 形態素解析とは:文章を、意味を持つ最小単位の「単語(形態素)」に分割し、品詞などを判別する処理。「東京都で食事をした」→「東京/都/で/食事/を/し/た」のように分解します。
- 分析・可視化:単語の出現頻度や単語同士の関連性を分析し、グラフなどで可視化します。
- ワードクラウド:出現頻度の高い単語を、頻度に応じて文字の大きさで表現する手法。文章全体で何が多く語られているかを直感的に把握できます。
- 共起ネットワーク:特定の単語と一緒に出現しやすい単語(共起語)の関係性を線で結んで図式化する手法。「ビール」と「おつまみ」、「価格」と「高い」といった、単語の組み合わせから顧客の思考パターンを読み解きます。
- 考察:可視化された結果をもとに、課題の発見や施策の立案を行います。
データマイニング・自然言語処理との違い
| テキストマイニング | データマイニング | 自然言語処理(NLP) | |
| 分析対象 | テキストデータ(非構造化データ) | 数値データ、テキストデータなど全てのデータ | テキストデータ(人間が使う言葉) |
| 目的 | テキストから有益な情報を抽出・発見する | データ全体から有益な法則や傾向を発見する | 言葉の意味をコンピュータに理解・処理させる |
| 関係性 | データマイニングの一手法 | テキストマイニングを含む広範な概念 | テキストマイニングを支える要素技術 |
- データマイニングとの違い
データマイニングは、売上データのような数値(構造化データ)を含む、あらゆるデータを分析対象とする広い概念です。テキストマイニングは、その中でも特にテキスト(非構造化データ)に特化した分析手法と位置づけられます。 - 自然言語処理(NLP)との違い
自然言語処理は、人間が日常的に使う言葉をコンピュータに処理させるための技術全般を指します(例:機械翻訳、かな漢字変換)。テキストマイニングは、この自然言語処理という技術を使って、有益な情報を「発見する」という応用の分析手法です。
テキストマイニングを導入するメリット
- 顧客の潜在ニーズの発見
数値データだけでは見えなかった顧客の具体的な意見や感情を捉え、商品開発やサービス改善のヒントを得られます。 - 業務課題の可視化と改善
社内の報告書や日報などを分析することで、業務プロセスの問題点やナレッジ(知見)を可視化し、業務効率化につなげられます。 - リスクの早期発見
SNSや口コミからネガティブな評判やクレームの予兆をいち早く検知し、迅速な対応を可能にします。
テキストマイニングのデメリットと注意点
- ツールの導入・運用コスト
高機能な分析ツールは導入費用や月額費用がかかります。 - 専門知識やスキルの必要性
ツールの操作や、分析結果を正しく解釈してビジネスに活かすためには、ある程度の知識やスキルが必要です。 - 分析結果の解釈の難しさ
分析結果はあくまで客観的なデータであり、その背景にある文脈や意図を誤って解釈すると、間違った意思決定につながるリスクがあります。
まとめ
テキストマイ二ングは、「お客様の声」や「従業員の声」といったテキストデータに隠された宝の山から、ビジネスを成長させるための貴重な知見を掘り起こす技術です。その仕組みやメリット・デメリットを正しく理解し、目的に合ったツールと手法を用いることで、データに基づいた的確な意思決定を実現できます。